無題

杏芋

第1話

いつもの部屋、いつも通りの日

いつもと違う状況…それは…


イヤァァァァァァァ!!!


わたしの悲鳴だった。


そしてそのままわたしは気を失った。



そうだ…わたしは彼とデートをした帰りに

なにかあったんだ…でもなにが…?


思い出して...思い出して...


いつもと違うように言い合ってる

一方的にわたしが彼に迫りよって…


「わたしこんなにあなたの為に頑張ったよ?」

「わたしあなたの好きなところいっぱい言っていっぱい褒めたよ?」

「わたしあなたの為にあなた好みに可愛くなったのに見てくれないの?」

「なんでそんなに嫌そうな顔で…つまらなそうな顔で…」

「なにかした?わたしなにかしたの?」


えっ、なに…やだ…やめて…やめて…

そんなの…イヤッイヤッ…


「そう…じゃあ最後にわたしのお願い…最初で最後のわがままを聞いて?」


やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ


「わたしをこのまま見つめて…抱きしめて…」


あっ……この手の中にある生暖かい感触…

まるで、砂山に棒を刺したように滑らかな感じ…


あぁ…彼がわたしを見つめてる色々な感情表情がこもった顔でわたしだけを見てる


「もう…忘れないね…ずっと…」


「その顔……好きよ…愛してる」


「これでわたしだけのあなた…ね」


あ、あぁあ…ぁあぁぁぁああぁあアァァ……


思い出した………

わたし、彼を…


いつもの違う匂い…(生臭い…)

いつもと違う部屋の色…(赤い…)

いつもと同じようで違う彼がそこで横になって

わたしをずっと見つめながら…

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無題 杏芋 @kyochan3

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