夢の中の勇者様

@Tona0986

千板永久の章

第1話 虚幻の世界

1章 千板永久の章


1話 虚幻の世界


この世界は何なのだろう...。

皆はそう考えた事は無いだろうか?

偽り?嘘?虚像?幻想?

本当に私はこの現代を歩んでいるのだろうか。

私は常にそう考える。

その理由は、、、

一日に一回私は眠りにつく。

短くても。長くても。

その眠ってる間にいつも不思議な場所でいつも楽しい事をやっている。

でも、ぱっと目が覚めるとその記憶は無くなっている。覚えていること...。それは...。

-楽しかったね-

その一言だけ。

いつも起きる直前に、そう聞こえる。

それは何?

私は何をしたってゆうの?

またそんな事を思って、1日が過ぎる。

そして布団の中で、不思議な場所に行って、楽しい事をやって、また私は目が覚める。

その繰り返しの毎日。

時々思う。

本当はこの世界が眠ってる時間なんじゃないかなって。

人はその事を夢って言う。

私はどっちが夢か分からない。

私は夢の中で夢を見ているのだろうか?

もしかすると、この世界そのものが夢?

あぁ!わからない。

楽しくないこの世界が夢なら私は嫌だな。

私は高校1年生。中学生を卒業して、皆と離れて1人で地元から遠く離れた高校に進学した、特に大きな志があるわけでもなく、何となく適当に高校をきめて適当に毎日を過ごしていた。

でも歯車が食い違った、こんな事を言ったらただの言い訳にしか聞こえないと思うけど、

周りの高校生の話の内容についていけなかった。

もともとコミュ障の私はあまり誰とも話すこともなく、日に日に毎日を過ごしていた。

でも、時々いるんだ、話しかけてくるムードメーカー的な存在の人が。

話せない私に、変な気を使って無理やり話を私の中にねじ込ませてくる...。

それが凄く嫌だった。

私は皆と少し距離を置いて、眺めて、その雰囲気の中にいるだけで満足だったのに、私に話しかける事によって、私は話の中心の人物になる。

刺々しいほどの視線と、何か面白い事を言わなくてはならない使命感。

この感じが凄く嫌だった。

そして-その場から逃げ出した。

その次の日学校をサボった。

毎日くる母からの応援メッセージに適当に充実してる様子のメッセージを送った。

一日学校をサボると学校に行くのが気まづくなってそのまま行けずじまい...。

あぁ...。何なんだろう...。私って。

学校をサボって部屋で有意義に生活してるわけでもない。

朝から夕方までパソコンとスマホとゲームと...。

本当に嫌だな...。

楽しくないこの世界が夢なら、きっとその夢を見ているあなたはさぞかし残念な考えを持っているのだろうね。

でもそのあなたは私。私はあなた。

夢とその中の夢と偽りの現実と、本当の世界?

あれ?私の住んでる本当の世界はどこ?

あれ?

あれ?

あれ?

あれ?

あれ?

あれ?

頭の中がごちゃごちゃになっていく。

そして意識は眠気と考えすぎによって遠のいていって...。私は目を閉じた...。

...

...

...

「起きてください!起きてください!」

待って...もう少し寝せて...。

「大変なんです!起きてください!」

嫌だ...。あと五分...

「起きろぉぉぉぉぉぉーー!」

凄まじく高い声が響く。

「う...う~ん。」

私は目を擦りながら起きた。

そしてその目の前に広がる光景に驚いた。

さっきまで部屋で寝ていたのに、そこに広がっていたのは木と木と木と木。つまり森だ。

そして近くに人形のロボット?がいる。

とうとうおかしくなったかな?私...。あはは思わず心の中で自分に呆れて笑ってしまった

「やっと起きましたね!初めまして!僕はチーノ!よろしくれす!!」

そう言ってそのロボットが手を差し伸べてきた。

「は...はぁ...。」

私はいきなりの事過ぎて全然ついていけなかった。

「君の事は知ってるよ♪千板永久ちゃんだよね?」

「なんで私の名前を知ってるの?」

千板永久(ちいた とわ)は私の名前。初めてあったロボットにそんな事を言われた。

「僕は情報ロボットとしてこの世界で作られたんだけど…。ある情報が来たんだ。

それはこの世界の人類全員がとある魔王に全員拘束されてしまった。

魔王は人の代わりに大量の魔物を...。

だから僕達は異世界の人の力を借りて魔王を倒す事を決意しれす!だから僕達を助けてほしいのれす!」

チーノの言ってる事はよく分からなかったけど、とりあえず魔王を倒す事はわかった。

「チーノ~」

「はいれす!」

「武器と防具は?」

戦いに必要な道具。わたしはこれが欲しかった。

「武器と防具は魔物を倒したら貰えるお金で買えるれす!」

もう勝手に戦う事になってるし...。

まぁいいや。

「それじゃあ魔物を倒しに行こうよ。」

「はいれす!魔物は勝手に歩いていると出てくるのでそいつらを倒すれす!」

私が徒歩3分くらい歩くと本当に魔物が勝手に出てきた。

魔物は2体出てきて、一体目は可愛らしい猫。もう一体目はコウモリ。

「いいれすか?頭上をみるれす!」

そう言われた私は頭上を見上げた。

すると緑色のゲージと黄色のゲージがあった。

「いいれすか?よく聞くれす!その緑色のゲージそれは永久ちゃんの体力を表しているれす!それが0になると永久ちゃんは死んじゃうれす...。そして黄色のゲージはある一定の攻撃をすると減少してしまうれす!車のガソリンと一緒れす!考えてつかうれすよ!

緑と黄色のゲージはそれぞれライフポイント(LP)とアタックポイント(AP)っていうれす!

この二つは寝ると回復するれす!

とりあえず学ぶより慣れろれす!

がんばるれすよ!」

チーノの言ってる事は大体分からなかったけど緑色のゲージライフポイントが無くなればやばいって事がわかった。でも...。

元々運動神経の無い私はこの魔物を倒せるか少し不安だった...。

「んぎにゃあぁぁぁぁー!」

猫の魔物が襲いかかってきた!!

「きゃあ!」

私は思わず後ろにステップした。

そして驚いた。

本気のステップをしてないのに、約5m後ろに飛んでいたのだ。

そして次は私が攻撃した。

案の定避けられ、私は盛大に空ぶった。

でもその空ぶったパンチが地面に当たると、

私のパンチを中心に大きな穴が空いて、地割れが起きてその破片が猫の魔物とコウモリの魔物に当たってコウモリと猫の魔物は消滅した。

「え、えぇぇぇぇぇ!」

私は自分の力の異常さに驚いた。

だって、何気なく振りかぶったパンチが地面に当たって、凄く大きな穴ができたんだよ!?

運動神経のない私がこんな事できたんだよ?

ありえないよ!

「流石永久ちゃん!見事魔物を倒したれすね!財布の中を見るれす!」

チーノに言われるままバッグの中から財布を取り出して、中身を確認した。

そしたら身に覚えのないコインが入っていた。

「チーノこれは?」

私はコインを取り出し、チーノに見せる。

「それがこの世界のお金、レルれす!そのレルには三つ種類があって、それぞれ、価値が違うれす!レルには、銅、銀、金、クリスタルの4つがあるれす!1枚あたり銅は1、銀は10、金は100、クリスタルは1000の価値があるれす!

レルは魔物を倒すと勝手に財布の中に普及されるれす!その他にも魔物を倒した時に落とす素材をレルに換金する事ができるれす!」

そう言ってもくもくと説明を続けるチーノ。

そして私の頭の中には様々な疑問が渦をまいていた。

それは、チーノは武器を買えると言った。

でも、この世界の人は全員魔王に捕えられているはず。

そして一番の謎はチーノ。

人々が魔王に捕えられているのにどうしてチーノがいるのだろうか。

チーノを作った人は誰?

あれ?

あれ?

あれ?

あれ?

あれ?

あれ?

また意識が遠のいていく。

待って!まだ何もやってない!

あぁ。意識が...。

そして私は目を擦りベッドから起き上がる。

あれ?私って何をしてたんだっけ?。

しかも何で私寝てたんだろう。

まぁいいや。どうせ学校も行かないし、また寝よう。

そして私は眠りについた。

...

...

...

...

...。

ここは?

意識が戻る頃私は高校の制服を着て、教室に座っていた。

「え?どうゆうこと?」

口から言葉が漏れてしまった。

周りの生徒達の目が一斉にこっちに向く。

「え...あっ......ごめん...なさい...。」

私は声が上手く出なくて、下を向く。

でも視線が無くなることは無かった。

視線がだんだん大きくなって私を圧迫していく。

嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!

でも抗う事は許されず、

私を潰しにくる。

苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。苦しい。

嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。

あぁぁあぁぁぁあああああ!!!!!!...。

そして私は目を覚ました。

「はぁ...はぁ...はぁ...はぁ。」

自分が何をしていたのかは分からない。

でも、凄く嫌な思いをしていた事はわかっていた。

本当にこの世界は嫌いだ。

苦しくて、怖くて、私の居場所なんて元々無いかのように感じる。

現実世界の私はいつも部屋に引きこもって、パソコンとスマホの毎日。

たまに疲れて寝て。また起きて、パソコンとスマホ...。勉強なんてやらないし、そもそもやる気なんて全くない。

家を出る時は大抵15時頃だ。

なぜならご飯を買うから。

15時頃を選ぶ理由は、人が少ないから。

早朝は同じ学校の人がいる。

昼間は社会人が多い。

でも夕方はあんまり人がいない。

4時を過ぎれば奥様方が買い物にくる。

だからそれまでに家に帰る。

そして私は栄養の偏ったカップ麺を啜りながらまたパソコンをいじる。

現実世界の私は趣味が一つだけある。

それは、花を見ること。

外では見れないけど、パソコンという無限の可能性を秘めた四角の画面からたくさんの花を見る。

今日は桜を見ている。

花は凄くいいなって思う。

なぜなら

パッと咲いて。

パッと散る。

でも凄く綺麗。

何でだろう。

そう。それは使命があるから。

花は子孫を残すため、花粉をめしべに届けるために綺麗に咲いて、甘い蜜を出す。

それにつられ虫がよる、そしてその時におしべから花粉が虫について、そのままめしべに行く。

それを花は理解している。

そして花自身が今何をやるべきかも理解している。

でも私は理解していない。

私の中の花は何も理解していない。

勝手にパッと咲いて

勝手にパッと散って

そして

泣いて。

壊れて。

消えて。

私の中のネジが狂って。

だから私は綺麗に使命を達成している花が好きだ。

私もこれくらい綺麗だったらな…。

そんな事を思いながら私はパソコンを長く見すぎて疲れた目を擦りながらベットに横になる。

そういえば最近買ってハマってるゲームがある。それはチーノの大冒険。

どんなゲームかってゆうと、異世界転生の話。とある男子高校生が、異世界に転生させられる。その異世界は魔王によって、支配され、人々は誰1人残らず、全員捕えられる。

だけど、最後の1人の研究者が捕えられる前に、チーノっていう情報ロボットを作った。

その情報ロボットチーノは様々な異世界に行く事も異世界の生物を呼び出す事ができる。

そしてその主人公にあたる男子高校生が呼び出されて、その魔王に支配された町を救っていくってゆう話。

異世界と現実世界を行き来しながら進めていくストーリー。

これが凄く面白い。

魔物を倒して、その世界のお金レルで武器を強化していきながら進めていくRPGだ。

そして何気なく私はチーノの大冒険をプレイしていた。

その時に全てが変わった。

-............れす!-

ん?今何か声が聞こえた気がした。

-......ち......るれす!-

え?

-こっちに来るれす!!!!!!!!-

「チーノ!?」

私は無意識にそう叫んでしまった。

その瞬間持っていたゲーム機の画面が割れ、

黒い煙が私の体を覆い尽くす。

そして-

私は来てしまった。

チーノの大冒険の世界に。

見覚えのあるロボット。

そして1回来たのだろうかと思わせるほど安心する森の中。

でも、1個だけ違和感があった。

多分こいつのせいだろう。

私がいつも操作していた男子高校生主人公。

名前設定では私がアルトって付けた。

でも本当の名前は知らない。

外見は身長は178cmくらいで、頭に赤色ヘアバンドをしていて、顔立ちは大きい瞳に綺麗な歯。可愛い。

「君...名前は?」

アルト(仮)が私に話しかけてきた。

「あっ...。えっと......。」

やっぱり私ってコミュ障なんだなって思わせるくらい話せない。口から声が出ない。

私はそんな自分が大っ嫌いだ

「そんなに緊張しないでいいれすよ!」

チーノが優しく話しかけてくる。

「この子は千板永久ちゃんっていうれす!」

チーノの言葉を聞いてアルト(仮)が近寄ってきた。

「永久ちゃんよろしく!俺の名前はアルト!よろしく!君も異世界転生でこの世界を救いに来たんだよね!一緒に頑張ろうね!」

そう言って、男子高校生は私に伸ばす。

「よ...ろしく...お願い...します...。」

話しかけられて頭が真っ白になる私。

「よろしくな!」

そう言って、私の手をパッと取ってくれた。

「うんうん二人ともいい感じれすね~」

チーノは腕を組んでうんうんの頷く。

「ところで、永久ちゃんはどうしてこの世界に?」

アルトがチーノにそう聞く。

「それは............秘密れす!」

チーノはそう言ってぷいっとそっぽを向く

「永久ちゃん危ない!」

アルトがそう叫ぶ!!

その瞬間-

-ズシュ-

嫌な音が聞こえた。

私は音がなった方向を、向いた。

え?...。

音がなった方向にあったのは…いや。

その音は私からしたのだと気づいた。

そう。

私の左肩だった。

そこから猫の手が出ていた。

そう。

私の左肩を貫通して猫が手を出していた。

それに気づいて私は大奇声をあげた。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「永久ちゃん落ち着いて!」

アルトがそう叫んだ。

でも落ち着けるわけがないでしょ?

いきなり異世界に迷い込んだあげく、左肩を貫通される。

もし君が逆の立場だったら同じようにやってるでしょ?

って事も言えずに。心に貯めて。

ひたすら叫んだ。

叫んで。

叫んで。

声を出すことに疲れた私はアルトの方を見た。

アルトは私の肩を貫いたモンスターを倒していた。

私はほっとした。

そしたら急に瞳の奥が熱くなって、息苦しくなって、大粒の暖かい涙が私の頬を走る。

そして何かの線がきれたように次々に大粒の涙がポロポロと落ちる。

「アル...ト...肩が...。肩がぁ...。」

私はそれしか言わずにただひたすたら涙を流した。

別にそんな事がしたかったわけでもないのに

涙が止まらない。

「チーノ!!回復薬は!!?」

「ちょうど切らしてるれす!!」

「1000レルだ!これで一番いい回復薬と包帯を買う!頼む!!」

「了解れす!」

その瞬間チーノの体がピカっと光った。

「お買い上げありがとうございます。この場で復元いたします。」

そして目の前に瓶と包帯と思われる物品が2つ出現した。

そしてそれをアルトは手馴れた手つきで瓶を開け。包帯を伸ばし、

「永久ちゃん!傷口を見せて!」

そして私は傷口を見せる。

「チーノ!『箱』(チェスター)から水を出して!」

「了解れす!」

「永久ちゃん。ごめん!」

そう言ってアルトは私の七分袖のポロシャツを脱がせる。

「ちょっ!えっ!?」

私は場の状況に流されそうになったけど

アルトの真剣そうな瞳を見てすぐに安心できた。

そして

ほとんど同じ年の男の子の前で下着姿になるってゆうコミュ障には耐えれない状況、、、なはずなのに...。

自然と落ち着いていられる。

「永久ちゃん染みるけど我慢してね」

そう言って瓶に入ってる薬を私の肩にぶっ掛けた。

貫通してる傷口は凄く敏感なのに、そこに液体が染み込んでくる。

しみしみとくる痺れに似た感覚。

「っんー!」

私は声をあげずには居られなかった。

そしてアルトは素早く私の肩に包帯を巻く。

「これで大丈夫。痛みは次第に引いて、傷は塞がるよ。」

そうやってにこって笑うアルト。

「立てる?」

「うん。。」

「よかった。」

立ち上がる姿をみてアルトはまたニコッと笑う。

「アルト...!」

「ん?」

「あ、ありがとう!」

「おう!」

私の顔がその時満面の笑みになってたことを私は知らなかった。

「こ、こほん!2人ともいい感じになってる所悪いれすが、チーノがこの世界に呼んだ理由はこの世界を救ってもらうためれす。その為には2人はまだまだ強くなってもらう必要があるれす。特に永久ちゃんさっきみたいなのは本当に危険れす!気をつけるれす!」

「ごめんなさい。」

「まぁいいれす!無事だったのが1番れすよ!」

俯く私に優しく言ってくれるチーノ。

でもこの言葉に凄く重みがあることを私は知っていた。

無事だったのが1番。

下手すればこの世界で私が『死ぬ』事もある事を意味している。

そんなことを私は思っていた。

「とりあえずそんなわけで、行くれすよ!」

「え?」

考え事をしていてチーノの話を全く聞いてなかった。

「だから、北西の方向に人がいるとゆう情報が入ったれす!そっちに向かうれすよ!」

「あ、はい!」

「永久ちゃんぼーっとしてたら置いていくよ!」

そして私とアルトとチーノは人がいるとゆう情報を元に北西に歩いていった。

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