第1話

 3人の不吉な微笑みに、クラスのほとんどが引いていた。なぜ、トイレ掃除になれただけであんなに喜ぶのだろう。まあトイレ掃除なんてやりたい人、そうそういないし。あの人達がやってくれることで、じゃんけんで負けて嫌々やるはめにならなくて済むし、良いのかな。ありがとう、チームトイレ掃除。


 

 

 そうだ!トイレ掃除になれたんだ!ひじきこと森田響はトイレ掃除が大好きだった。3人の中で1番喜んでいたのはひじきだった。

 トイレ掃除は最初は5人だった。2年生の頃だ。誰も手を挙げなかった女子トイレ掃除にひじきが手を挙げたのだ。それにつられるように当時仲良かった3人、メグとしらたまと相川さんが手を挙げたのだった。


 2年生の時から1年あった。途中から金沢さんが入った。金沢さんはずばっと物事を言える人だった。言いたいことをなかなか口に出せないひじきからしたら金沢さんはすごい人だった。しらたまと相川さんと金沢さん。3人とも演劇部だった。

 

 1年の中には演劇部の喧嘩もあった。素直に物事をずばっと言える金沢さんと、合理的に何かを考えるしらたまは意見があわないことがあった。相川さんは金沢さん側についていた。

 演劇部の喧嘩は正直面倒くさいもので、美術部のひじきは一人傍観しているだけだった。仲直りできるのなら早くしてほしかったし、できないならさっさとけりをつけて仲良くしなくても良いのだと思っていた。間に入って喧嘩を止めようとするのもなんだか面倒くさくて、やはり私も女子らしいなとひじきは納得していた。

 面白いと思ってもいいのか、すごく仲が良かった演劇部の3人が1:2に別れ、全く話そうとする気もないし、できるだけ距離をとろうとしている。

 結局、しらたま1人と相川さん金沢さん2人に別れ、メグも掃除場所を変え、5人だったトイレ掃除は3人になった。

 ひじきはどちらの側にもつけず、どちらとも仲が良い状態にある。どちらともと仲が良いのが1番面倒くさくないと思ったからだ。


 たくさんの出来事の中でチームトイレ掃除3人が確立したのだ。



 


 キーンコーンカーンコーン

6時間目の授業が終わり、やっとトイレ掃除ができる!ひじきは相川さん、金沢さんと一緒に新しく決まった、掃除をするトイレへ向かった。

 

 新しい場所は、ひじき達のクラス3年6組の真下のトイレだった。そこのトイレは誰も使う人がいないトイレだった。ほこりがたくさんあって、床や壁は汚いのかな…!たくさん掃除ができるのかな!というひじきの期待は外れ、そこのトイレは綺麗であった。

 

 2年生の時掃除していたトイレはよく汚れていて掃除のしがいがあるトイレだった。それに変わってここのトイレは綺麗すぎる。

 ゴミは全然落ちていないし、ほこりもない。前掃除していた先輩方がちゃんと掃除をしてくれていて、さらに誰も使わないから綺麗なままなんだ。あーあ、もっと汚いトイレが良かった。


 でも、綺麗でもそのうち汚れるよね!とひじきは気持ちを切り替えモップを持ち水を流し始めた。

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チームトイレ掃除! 枝割ひきじ @hijiki0817

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