第3話

あれから俺は人が変わったように日々を過ごした。以前の病弱だった体は嘘のように健康になった。あまり得意とは言えず好きでもなかった勉強も進んでやるようになった。他人とはなるべく関わらず生活していたのが、いつのまにか積極的に関わるようになり、周りには常に人が集まるようになった。

_______以前の俺では考えられないだろう。きっと昔の俺が今の俺を見たら驚いて気絶してしまうのではないだろうか。想像してみるが、随分と滑稽である。まぁ、それはそれでいいとしよう。

高校を卒業し、俺は大学に入りあの島のことについて調べた。それはもう周りが引く程に。

何がそうさせるのか分からなかった。ただただあの琥珀色を知りたくてしょうがなかった。どうしてもどうしても全てが知りたかった。結局は特にこれといった成果は得られなかったが。

大学を卒業した後、俺はあの島にやってきた。島に住むために。

島の人々はあの時と全く変わらず、昨日のことのように俺の事を覚えていた。

「あぁ、こんなにも大きくなって」「ここに住むのかい?」「それは嬉しい」「昨日まであんなに小さかったのに」「時間とは早いものだなぁ」

島の人々は俺がこの島に住むことをとても喜んでいた。

この島の人々はとても良い人達だ。俺はその時心からそう思った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

琥珀を見ながら、海に還る リサ @risarisaman

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ