無言の約束

かたち

無言の約束

「そんな話、罷り通るわけないでしょう!」

自分は多くの約束に基づいて呼吸している。

認めた約束は、まさかそんなはずないと、他人を見て気づく。

「君ってきもいね」

自身のきもさ、認めていないきもさを思い出させる言葉は幾年月。

約束を、僕の奥深く、何の横槍もなしに、君とする。

「指っきりげんまん、」「嘘ついたら、」「はりせんぼん、」

「「「呑っますっ!!!」」」

「指切った」

「「「!!!」」」

三人の約束は三人で為せず。不自然、されど決定された四人目の存在に三人は戸惑いを隠せない。

しかし約束は四人の物であった。自然な三人に不自然な四人目。其れがこの約束の定義である。

約束は余りに多過ぎて、だからこそ世界は運と不運を人々に名付けるほかない。

世界は余りに関わり過ぎて、何ともしようがなくなっている。

私は私の出来ることをしよう。世界を守ろう。

私の出来る範囲というものは、私にしか為せないから、私がいなくなると、その分世界は辛くなる。

私は、私の出来ること。世界は世界の出来ること。

例えば、お出掛けして、田舎の帰り道に独り夜の月を眺めてみる。

夜の月は雲に隠されない限り、存在を証明して、私たちの僅かな存在を照らしてくれる。

私はそうして時々、夜の道をてくてく歩き、家路につく。

存在を死なせないで、無言の約束を為して、生活していく。

色々な約束を破り、護り、存在させながら、生きる。

僕は沢山の約束を反故した。僕はそういうことを沢山覚えている。

僕に感覚が残っているのはその為だと思う。個人の意味はそれだけかもしれない。

私という肉体に掛かった様々な約束を、護り続けているのか、破ったのか、破っても覚えているか、覚えていないか。

そうならば、少し一息世界に洩らして、私はぐったりくつろぐことが出来る。

私。私の中。

約束というものは世界に有りながら、私の中に溜まっていく。

私はこれからどのように生きるのだろうか。どのように生きるにしても。

私有りき、でしょ?

そうだとごちって、私は眠る。明日は良いことありますようにと、生存継続の約束をして眠る。

約束、幾多の約束、ありがとう。

私はあなた有りきで生きている。例え、悪い関係の約束だとしても、存在しなければ、私はいない。

ありがとう、ありがとう。

此れは全て夢の話。だって私は寝ているのだから、単純って嫌でしょ。一番強くとも。

ということでおやすみ。君も良い夢みてね。僕もみるから。

zzz…。

…。

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