第28話 街

 18時。

 私の椅子の下に、魔方陣が現れる。


 男気姉召喚発動。MP消費0。


 【パッシブ】・弟感知

 【肉体条項】・弟近接時、ステータス +5倍

 00:10:00


 「えへへー。」

 「どうしたの?ちょっと早いね。」

 「見て!街だよ!」


 丘の上から見える街は、巨大な壁に囲まれ大小の家が乱雑に並んでおり中央にお城や大きな屋敷が見える。夕食の支度のためだろうか、街のあちらこちらから白い煙が上がっている。


 「うわぁ!素敵!」

 「ちよねー!街に行ったら街を案内してあげるね!」

 「今から行こう!今、ねーねーMP減らないみたいだから。」


 「そりゃ、無理だと思うぜ。まぁ、行けばわかる。」


 弟と久々に長いおしゃべりをしながら、街の近くまで行くと門の前は大行列が出来ていた。


 「うわ~。何なのこれ?」

 「魔族対策でチェックが厳しいの。入るのに半日はかかるの。」

 「今日は無理?じゃ、みんなはどうしているの?」

 「兵の周りにテントがいっぱいあるでしょ。あーやって、翌日まで待つの。」

 「そ。じゃ、昼食持ってくるね。」

 「待ってなの!ここでは召喚は使わない方がいいの。召喚だと魔族と思われちゃうの。」

 「そうなんだ…。じゃ、今日は入れそうにないから、テントはれる場所探しましょうか?」


 テントのある方は、いわゆるスラムという所だった。

 「こ、ここで?」

 「あん?なんだ千代。ビビッてるのか?」

 「そりゃ…。めちゃくちゃ強盗とかいそうじゃない。」

 「そんなのどこにでもいるに決まってんだろ?」

 「えー!いちゃダメでしょ?!」


 そんな事を話していると、ドンと肩にぶつかってきた少年の栗鼠獣人スクワラルがいた。

 「おめぇ、待ちな!」

 ロッサちゃんが栗鼠獣人スクワラルを追いかけて走り出す。

 「え?どうしたの?」

 「スリなの。」

 「え?え?何をとられ…あ!饅頭が箱ごと!」

 「あん?!ぜってー!逃がさねぇ!」


 私も追いかけなきゃ!止まって!そう思った瞬間に栗鼠獣人スクワラルの顔の前に紙が現れて張り付く。

 「もがっ?!」

 がしっ

 「逃がさねぇよ!饅頭返しやがれ!」


 ごつん!


 「いてぇ!くそぉ…。」

 「ロッサちゃん!お手柄!で、泥棒はどうするの?」

 「あん?どうもしねぇよ。ガキのひったくりなんかで目くじら立ててたらいい笑いもんだ。ほら!さっさと行きな!」


 「お。覚えてろ!」

 たたたた


 逃がしてもらったのに、覚えてろよなんだ…。それとこの紙。し、新聞じゃない?!取り敢えず持って帰って家族と相談しよう。


 その後、テントをはり、テントの中で召喚を繰り返して夕食を食べ。翌朝、おにぎりを用意して朝焼けの時間から行列に並び、冒険者登録証やら奴隷証明書を発行してもらい、昼前には街に入れた。

 「「うわー!」」

 「街についたんだね!ママにも伝えたいから、一旦、人のいないところへお願い。」

 「わかったよ。こっちの方なら人がいねぇな。」


 人気のない所へ行くと急に私の前に文字が現れる。


 ***コングラチュレーション!***


 ミッションクリアー


 姉召喚はされました。


 母と目があう。


 「え?」


――――――――――

 最後まで読んで下さり、ありがとうございます。


 それでは!「え?」いや、ここで終わりです!


 それでは!

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Xを求めよ。 姉召喚スキル+弟愛スキル+家族=X 酔玉 火種 @yoidama-hidane

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