第27話 記憶

 午前12時。

 私の椅子の下に、魔方陣が現れる。


 【パッシブ】・弟感知

 【肉体条項】・弟近接時、ステータス +5倍

 00:05:59


 道から少し外れた森の中。


 「昼食持ってきたよ。」

 「ちよねー?」

 「あん?なんか、元気ねぇぞ?どーした?」

 「な、なんでもないよ!」

 もふもふしてて大目玉を喰らった、なんて言えないよ~。


 ドッタ君にリュックを渡して、弟とおしゃべりをしていると、木の幹で何かが動く。


---------------

【ステータス】

 フォレストスコーピオン

 レベル17

 尾の針は強力な毒をもち、強靭なハサミと顎で鉄剣すらへし折る。

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 「きゃぁ!!!」

 私の悲鳴を聴いて、みんなの視線が木の幹に注がれると、木にカモフラージュするのをやめて地面に飛び降りてくる。


 蜘蛛よりは見た目がまし!目がいやらしいけど!

 武器で攻撃しなきゃ!攻撃しなきゃ!


 恐怖で体が動かない。

 フォレストスコーピオンが、ゆっくりと近づいてくる。

 なんで?!なんで?!なんで?!


 「ちよねー?」


 怖い怖い怖い怖い

 ガタガタガタガタ


 弟が私をかばうように前に立つ。

 「ちよねー!いじめるな!」


 男気姉召喚発動。MP消費0。


 「なに!ぼぉーっとしてんだい!ガルル!」

 スパーン!


 ロッサちゃんの斬撃がフォレストスコーピオンの尾を切り捨てる。


 「もえるのー!」

 メラメラ


 ルルちゃんは油から火の玉を作り投げつける。

 暑さに悶えているフォレストスコーピオンに。


 「だー!」

 ズブリ!!

 ぶしゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!


 ドッタ君の槍が、深々とフォレストスコーピオン腹に突き刺ささり、バタバタと痙攣して絶命する。


 「ちよねー。もう、大丈夫だよ?」

 「う、う…ん。」

 何してるの、私!おねーちゃんでしょ!


 【肉体条項】・弟接触時、ステータス +10倍、姉弟回復

 【技術条項】・姉萌々時、弟スキル≪キラキラ≫発動、姉の状態異常回復

 「ちよねー。だいじょ~ぶ。だいじょ~ぶ。」よしよし


 「ありがとう。もう、戻るね。みんなも、ありがとうね。」


 居間に戻り、再び襲われる恐怖心に震えだす。

 ガタガタガタガタ


 私はおねーちゃん!私はおねーちゃん!

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