第35話 身分差別の呼び名(召使編)

【三助】・・・江戸時代の商家や町家の下男の通り名。また、銭湯で雑用、客の背中を流したりする男をそう呼んだ。罵語ではないが、職業の差別を表すので用いない。


【権助】・・・江戸時代から、明治時代に使われた下男の通り名。本名は用いないでこう呼ばれる。また、下男や飯炊き男のことをやや侮っていう。


【下男】・・・江戸時代には権助と呼ばれた。昭和戦前まではよく呼ばれたが、戦後はなり手がなくなり、自然消滅した。掃除や庭の手入れなど、家庭内の雑用をするために雇われていた。この語は、日本固有の名詞で、漢語には存在しない。


 ※【下女】・・・「女中」「お手伝いさん」と昇格した。下男はそういうことはなく、ずっと名前で呼ばれていた。年老いると【爺や】と呼ばれていた。


【男衆】・・・下男たちのこと。


【女ご衆】・・・下女たちのこと。


【爺や】・・・年をとった男の召使を呼ぶ。親しみとともに、見下げた呼び名である。往年は大家には生涯勤めた召使があり、家来のように主家に仕えたものである。現在は爺やを雇える家はほとんどなく、【爺や】の言葉も消えてしまった。


【婆や】・・・召使の老女や、乳母の老女をさす。親しみと侮蔑がこめられている。ご大家に永年勤続した男女の召使いがおり、生涯、その家に仕えたが、今では【婆や】がいる大家はまれである。

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今日の自由研究 水木レナ @rena-rena

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