送り狼にはまだなれなくて〜友弥side〜
今日は初めて壮クンがうちに来て本当に色々あった。まだ出会って日も浅く、彼の全てを知った訳ではないが、不確かだった気持ちが真実めいて自分でも驚いて居る。
可愛いな、から愛おしいに変わってしまった。困ったものだ。
芽生えた感情に今は戸惑っていて、家族に揶揄されて全身で否定はするけども、いつまで騙せるかな。
趣味がマイノリティーから、性癖のマイノリティーに宗旨替えか......いや、壮クン以外の男には食指は全く動かないのは確実。
二次元ではなんの抵抗も感じないが、リアルで男と睦み合うなんて想像を絶する。でも、壮クンは違う。
脳内で壮クンを......あああっ、もうこれ以上はよそう。
家までひとりで帰るだなんて頑張るから、慎重になだめて俺が送ると説き伏せた。
歩いて帰れなくはないけれど、それなりに時間は掛かる距離だったので、軽く送るよ! なんて言ってみたけど、大丈夫、歩いて帰られる距離だからの一点張りで正直驚いた。
人を頼る事を知らないんだな。
はっきり言って、壮クンは社交的じゃ無いのは百も承知だ。出会ってからの軌跡を辿れば、どんなに鈍感なヤツも判るだろう。
でも、かなり重症だったようだ。
でも、これからは、俺が居るから大丈夫、と、言うか、俺だけの壮クンにする予定なので、外野の心配は要らないだろう。
真綿で守られた精神。それを必要以上に固めたATフィールド。
なんのこっちゃと思われるだろうが、要は、壮クンのガラスハートを守り抜く。しかも、貞操の危機も同時にと言う事だ!
どうだ。参っただろう。
俺が大事に大事に守って、純潔を散らすのは、ぜったいいに、お、れ、だ!
実際に果たせるのかは保障出来ないが、心身共に満足させる事ができるのはこの、滝川友弥しか居ない! と、誰も言ってくれないので自分で言ってみた。
すみません......。
どうしても今日は離れがたくて、夕刻だった事もあり、夕食にラーメンを誘ってみた。
賛同してくれたので進路方向を変更してお気に入りの店へ......。
結果、相当喜んでくれた。こんなに喜んでくれるのなら、俺も一からラーメン作ろうかな〜なんて思ったりした。
そんなことよりも、喜びを共感出来るって、とても幸せだな。
これから、趣味を、食事を、いろんなことを共有して、楽しくて幸せな気持ちを2人で倍増してゆけたらどんなに幸せなんだろう。
リアルでハッピーエンドはどの位の確率なのかわからない。
二次元では、どんなに苦境であっても最後は幸せなラストで締め括られているが、リアルの世界では難しい。
近年、パートナーとして、地域によっては認められつつはあるが、婚姻としてはまだまだ。
気が早すぎるだろうが、どうしても付き合う=結婚と考えてしまう節がある。
以前にこの考えで失敗して居るから辞めればいいのに。
でも、真剣だからこそ先々まで考えてしまうんだ。
離れがたいから、時間が過ぎるのが物凄く早い。きっと、壮クンが感じて居るよりも俺の方が早く感じて居る。妹に危うく嫉妬しそうになったり。
遠回りしたはずのラーメン屋から、ここまで早過ぎて......。
もう壮クンの家の前だ。
俺の家から、そんなに遠くはなかった。だから、ラーメンに行って良かった。
そして、最後は嘘を吐く。
だって、めちゃくちゃ触りたいの我慢してたの! 俺!
悔しいくらいに可愛い顔してるの、判ってる? 襲われたって文句言えないよその表情。
狂おしい。
だから、意地悪してやった。
腰抜かして俺の事、一晩中考えて居て。
自意識過剰な反撃をしてやった。
可愛い方が罪、なんだと。
腐ったくらいが丁度いい あーたん @yoko0326
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