香澄のカウンセリングレポート(四)
『心に傷を残した少年の心理状態および行動記録(四)』
[二〇一四年三月二三日 午後三時〇〇分……トムにとって一つの区切りとも呼べる日々から、今日で約二年が経過しようとしている。あれからトムの心にも大きく変化し、以前のような暗い陰はほとんど見せなくなった。むしろ年頃の少年らしく無邪気な笑顔を見せることも多々あり、私の心も安堵している。
確かにトムの心は大きく変化したが、それがすぐにそのまま結果に反映されるとは限らない。今のところ学校を休みがちといった傾向は見られないが、時折以前のような暗い面影をどこか残している気がする。……私の思い違いであれば良いのだけど。
そしてトムの心のケアを行った私たち自身も、日々成長し続けている。だがそれは一人の力ではなく、多くの友人や知人たちのサポートがあってこそ、私たちは一歩づつ前に進むことが出来るのだ。人に感謝するというこの気持ち……絶対に忘れないようにしないと!
実際にこのレポートを書いている私自身も、数ヶ月後に卒業を控えている身。卒業に必要な単位はすでに取り終えているため、留年するといった心配はない。このまま順調に行けば、臨床心理士になるための明るい未来が待っている……]
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