残された罪の行方
オレゴン州 トーマスの部屋 二〇一四年六月四日 午前三時三〇分
トーマスが残した手紙を読み終えた後も、その心の傷が癒えることはなかった。いや、トーマスが自ら命を絶つという結末により、香澄たちには一生消えることがない心の傷が生まれてしまう。
そしてトーマスがこんなに苦しんでいたことを初めて知った一同は、より深く少年の死を悲しんでいる。
「トム……どうしてあの時あなたは“フローラ。僕、毎日が不安で怖いよ”って言ってくれなかったの!? あなたが亡くなった後に今さらこんなこと言われても……一体私たちはどうすればいいのよ? こんな終わり方、納得出来るわけないじゃない!?」
「ふ、フローラ……」
普段は比較的落ち着いた口調で話すフローラも、この時ばかりは時折言葉が荒くなってしまう。そして夫のケビンの胸元で再度泣き崩れながらも、自分の非力さを痛感するフローラだった。
そんなやり切れない気持ちと想いが、香澄たちの心に襲いかかる。そして
トーマスの死から数十分が経過しても、香澄たちの悲痛な叫び声やすすり泣く声は続いたままだ。早急にトーマスを弔うために、何とかみんなを励まし続けた。
「さ、さぁ……みんな。僕たちにはトムを
香澄・マーガレット・ジェニファー・フローラに声をかけるケビン。そんな気力など残っていなかったが、お互いに助け合いつつも体を支えあう。
「……えぇ。分かっているわ、あなた。さぁ、みんな。いつまでも泣いていないで……あ、あなたは!?」
フローラが香澄たちへ声をかけようとした瞬間、一同は驚くべき光景を目の当たりにする。
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