本当の気持ち

            『僕の大好きな家族へ』


 みんながこれを読んでいるということは、僕はもうこの世にはいないと思います。だけど命を絶つ前にすべて伝えきれるか分からないので、この手紙に僕の気持ちのすべてを残します。


 数日前にすべての過去を思い出した時……僕は色んな人や世界を憎しみました。どうして僕だけこんな目に……どうして僕だけこんなつらい想いをしないといけないの?”って。人生って、本当に不公平だよね。


 パパとママを亡くしてから、僕はケビンとフローラと一緒に暮らすことになりました。あの頃の僕は生きがいを無くしたばかりだったけど、ケビンたちと一緒に暮らすことで、僕はことが出来ました。本当にありがとう――僕、とても嬉しかったよ!

 それからしばらくしてのことかな? 僕のお家に香澄・メグ・ジェニーの三人が新たに加わって、そして僕らの新しい家族になった。突然三人も住人が増えたから、最初は僕どうすればいいのか分からなかったよ。だけど香澄たちは、そんな僕にとっても優しくしてくれた。たまに叱られたり怒られたりすることもあったけど、だよ。……また一緒に遊ぼうね!


 それから数年が経過して、僕の心はすっかり癒えたかに思えた。だけど心の奥底に眠っていた記憶が目を覚まして、僕の心を少しずつ蝕んでいく。最初はその正体に気がつかなかったけど、それが僕のパパとママに関係することだと知った瞬間、僕は何度も泣いたよ。一人ベッドの中でね……

 本当はそのことを香澄たちへ相談しようと思ったけど、みんな将来のことで頭が一杯みたいだし。それに僕はみんなの扱いは、されたくないから。


 でももういいんだ。どうせ僕のパパとママはいないし、誰も僕のこと気にかけてなんて……くれないから。

 い、嫌だ! 僕はもっとみんなと一緒に、色んな思い出を作りたいのに……もっと色んなこと知りたいのに……

 僕はこれから、どんな気持ちで生きていけばいいの? どんなに僕が願っても……祈っても……僕のパパとママは帰ってこない。それならいっそのこと……お願いだよ……僕、まだ……死にたくないよ……助けてよ!


 記憶が戻ってから自分でも色々考えたけど、今度入院したら、いつまた退院出来るか分からない。いつ自由になれるか分からない。だから僕は自由でいられる今のうちに、に移すことにしたんだよ。ただこの行動の結末に、香澄たちは納得しないかもしれないけどね。

 でもこれで僕はやっと、パパとママがいる天国へと行けると思うんだ! ……でも僕はお姉ちゃんたちにいっぱい迷惑かけただから、天国には行けないかな? でも神様はきっと僕の気持ち、分かってくれるよね? 神様……お願いします。僕をパパとママが待っている天国に連れて行ってください!


 これが僕の伝えたかった、すべての気持ちだよ。そしてこれが最後に言葉になるけど……聞いてくれる?


 そして数年間という短い間だったけど……本当にありがとう。生きがいと夢を無くした僕にとって、だったよ!


 僕が大好きだと胸を張って言い切れる、香澄・メグ・ジェニー・ケビン・フローラへ、トーマス・サンフィールドより愛をこめて……


                       トーマス・サンフィールド

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