待望のイベント結果発表の日

  ワシントン州 ハリソン夫妻の自宅 二〇一二年七月四日 午前九時〇〇分

 シアトル主催のイベント締め切りぎりぎりであったものの、何とか無事作品を提出することが出来たトーマス。結果発表までの間、彼は普通の小学生として過ごす。一方で彼を支援およびフォローした香澄たちも、ワシントン大学で勉学や将来の夢へ向け、前向きに勉強する。特に香澄は“これからが踏ん張りどころよ”と気持ちを入れ替え、より一層勉強に向けて取り組んでいく。


 そんな各自の道に向けて過ぎた数ヶ月があっという間に過ぎ、時はシアトル主催のイベント結果発表日である、二〇一二年七月四日を迎えた。ハリソン夫妻の自宅には主役のトーマスをはじめ、彼の保護者であるフローラおよび香澄・マーガレット・ジェニファーが集まっている。なおケビンは仕事の都合で自宅にいないが、彼女たち同様、結果を心待ちにしている。

「や、やっぱり緊張するよ。僕の代わりに結果を調べておくのって……だめ?」

「そんなの駄目に決まっているじゃない!? 作品を投稿した本人がそんなこと言って、どうするの!?」

「それだけトムも緊張しているってことですよ、マギー。本当にもう結果発表されるのかな?」

「それは大丈夫よ、ジェニー。トムが受け取った資料には、きちんと二〇一二年七月四日の午前九時〇〇分ごろにHPで結果発表する、って書いてあるもの」


“自分が投稿した作品の結果をいち早く知りたい”という気持ちと共に、“落選したらどうしよう”という不安の気持ちもあった。そんな話をしている中で、マーガレットは“どうして今回の結果発表日が、七月四日なのかしら?”と疑問を問いかける。

「七月四日がであることが関係しているのよ。……メグ。あなたはアメリカ人なんだから、それぐらい聞かなくても分かるでしょう!?」

「なるほど、さすが優等生の香澄。何でも知っているのね」

“相変わらずいい加減な性格ね”と香澄は内心呆れていた。


 それぞれが内に気持ちを秘めながら、ノートパソコンを操作しているフローラが“画面操作をしてもいい?”と尋ねる。みんなの答えは“YES”だった。彼女はノートパソコンのタッチパネルを使い、一つずつ画面をクリックしていく。そして画面を下へスクロールして結果発表画面を確認すると、彼女はその内容をしっかりとチェックする。

 フローラが画面に集中している中でトーマスもひょっこりと顔を出し、今回のイベント結果について自分の目で確認する。


       『第一回 シアトル誕生記念祭 入賞者発表 (敬称略)』


一位……デビット・ヘザー

二位……キャサリン・トリスタン

三位……ドノヴァン・コンシー

特別審査賞……トーマス・サンフィールド

参加者……二〇九二名


 入賞者のプライバシーへ配慮するため、住所および年齢などの個人情報は、非公開とさせていただきます。入賞者へ贈与する賞金や賞状、およびトロフィーについては、ホームページで告知している内容となります。景品につきましては、二〇一二年八月一日~一二月三一日までに本人が受け取りに来てください。受け取り場所につきましては、ワシントン大学構内の事務所で対応します。ワシントン大学の住所やアクセス方法などは、大学のHPをご覧ください。


 また景品を受け取る際には、本人確認書類(運転免許証・出生証明書・社会保障番号など)をご用意ください。そして期日までに景品の受け取りが出来ない場合には、当ホームページに掲載されている電話番号、もしくはワシントン大学事務所へ、二〇一二年一二月三一日までに連絡してください。なお年内までに何の連絡もない場合には、権利を放棄したものとみなします。

 ただし入賞者が学生の場合には、保護者や親族などが一名以上同伴することを条件とします。なお今回のイベント主催に向けて、ワシントン大学および関係者の皆様には、多くのご協力をいただきました。この場を借りて、改めてお礼申し上げます。

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