希望のカレー、絶望のカレー

天ノ川源十郎

希望のカレー、絶望のカレー

少し昔、とある場所に結構人気のあるカレー屋さんがありました。

材料の品質も良く価格もそこそこだったため多くのお客さんは満足していたようです。


そんな人気のあるカレー屋さんを見てうんこ君は嫉妬しました。

色や形はそっくりなのに、うんこ君と比べてカレーは皆に人気があったからです。

そこで、うんこ君はカレー屋さんに入ってカレーのルー君にこう言いました。


うんこ君「ねぇ、ボクも混ぜてよ!」


ルー君「えぇ、藪からスティックに何言いだすの。キミとはトゥギャザーしたくないよ」


ルー君はとても嫌がりました。

当たり前です。だってうんこ君は臭すぎました。一緒に混ざるなんてもっての外です。ところが二人の会話を聞いていた店長さんはうんこ君にこう言いました。


店長さん「面白そうな話ですね。少し考えてみましょう」


ルー君「マジか…… 一寸先はダーク……」


うんこ君「やったぜっ!」


店長さんは考えました。

今でもお客さんは十分に満足しているが、このままでは需要に対して材料が追い付かない。安い具材を手に入れて混ぜてしまえば利益も沢山でるはずだ、と。しかし相手はうんこ…… たくさん混ぜるわけにはいきません。さてどうしようか。店長さんは対応に迫られていました。


数日後、うんこ君は大勢のうんこ仲間を引き連れてお店に再びやってきました。


うんこ達「こんにちはー、キミたちと混ざりにきましたぁ~」


店長さんは大勢でやってきたうんこの余りの臭さに悶絶しました。


店長さん「いや、無理です。全員はとても無理です。この中から、臭いうんこ達は排除させてもらい、マシなうんこだけを選別させてもらいます」


マシなうんこ達「そ、そんな…… じゃあ君たちとはさよならだね」


臭いうんこ達「ええぇぇぇぇ、我々はどうすればいいんだぁぁぁぁ」


絶望的な表情を浮かべたのは選別された臭いうんこ達。

そんな彼らを見かねて、一緒についてきたハエ君は店長さんに抗議しました。


ハエ君「彼らを! 彼らを抹殺するっていうのか!」


店長さん「抹殺という強い言葉は使いたくありませんが、そうですね。彼らを排除するという意思を曲げるつもりはありません」


臭いうんこ達(ガ~~~~~~~~~~ン)


店長さんはうんこ達の中からマシなうんこ達を選別していきました。

そしてうんこ達とルー君を混ぜることで増量に成功したのでした。

それから数週間後……




お客さん「不味い…… 不味すぎる……」


人気店だったはずの、お店から客足がどんどんと遠ざかっていきました。

当たり前です。うんこと混ざったカレーを一体誰が喜んで食べたがるでしょうか?

驚いたことに店長さんはそのことすら分かっていなかったのです。


ハエ君「えぇぇぇ、これ美味しいよな? 美味しいよね?」


お客さん「いや、不味いよ。だってうんこが臭すぎるんだもの」


ハエ君「うんこが臭すぎるんってなんだよ! 臭すぎるってなんだよ! うんこが臭すぎるってなんなんだよぉぉぉぉぉぉ!」


うんこ君と仲の良かったハエ君はお客さんの感想に激昂しました。


ハエ君「やっぱり店長が排除という酷い理論を使ったから客足が遠のいたんだな……」


お客さん(このハエぇぇぇぇぇ、違うだろっ、違うだろ!って言いたいけれど、コイツ全然言葉が通じないんだよなぁ)



ハエ君には人気が落ちた本当の原因はうんこが混ざってしまったことだと分かっていない様子でした。もちろん、当人であるうんこ達も人気が落ちた理由が自分たちにあるとは思っておりません。


うんこ達は店長やルー君たちに八つ当たりを始めました。


うんこA「客足が遠のいたのは店長とルー君達が悪い。僕たちは被害者だ!」

うんこB「店長には店の長を止めてもらい、ルー君たちは俺たちの味に染まるべきだ!」

うんこC「せっかくですから、排除された臭いうんこ達と合流しませんか?」


お客さん「うわぁぁぁ、これは酷い。ほかのお店でお腹を満たすことにしよう」


お店の惨状を目の当たりにしたお客さんはさっさと退散してコンビニへといきました。


お客さん(しかたない、ブラックサンデーでも食べて少しお腹を満たそう)


お客さん「すみません、ブラックサンデーください」


店員「110円になりま~す」


お客さん(あれ…… 以前よりもちょっとだけ高くね?) 











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希望のカレー、絶望のカレー 天ノ川源十郎 @hiro2531

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