【追加原稿】創作論作成のススメ

 最近、カクヨムでは書き方講座などの創作論エッセイが賑やかです。これはとてもよい兆しというか、皆さんもっともっと書きましょう、効果抜群ですので。


 なぜ書き方エッセイが良いかというと、これはもろに予習復習に当たるからです。


 本当の初心者のうちは、とにかく頭に浮かんだ文章をひたすら書き記すだけでも満足できるものですが、そのうちあれこれと考えるだけの余裕が生まれてきます。

 最初は短編がせいぜいでも、書いていれば総文字数が10万超えるなんてすぐです。頭の中に限れば、大河のような超大作だってサクサク作るようになってます。まぁ、これは個人差があり、短距離向きのランナーは最初から短距離しか狙わないのと同じで、短編特化型の書き手さんというのもいらっしゃると思います。

 これはアレです、漫画を描く方は小説でなく最初から漫画だ、というようなモノです。人間、なんとなくでも自分の特性に向いたモノに興味を示す方が多いのですね、例外ももちろんありますが。歌手になる方は最初から歌っていて文を書いちゃいない。下手の横好きというのもあって全ての人に当て嵌まるとは言いませんが、と。


 慣れてくれば欲が出てきます。ただ思い浮かんだままを書き写すだけという作業に疑念も涌きます。そしたら今度は他人の創作論にも興味が出て、書き方講座などを調べてノウハウを実践したりして、自分自身の創作手順を確立し始めますよね。

 それって恐らく大多数の人が通る王道とも言うべき道筋で、だからこそノウハウ系のモノは書籍でも古今東西でこんなにも流通しているというべきで、ここに疑念を差し挟む方も多いのですが、なんと申しましょうか、いつまでも初心者のやり方が通じると信じるのもそれはそれで一つの考え方ではありますな。


 普通は、何かを突き詰めよう、上達しようと考えたなら、ノウハウを調べ、関連を学び、初心者を脱却することに迷いなど生じないジャンルが多いものです。ギターだとか、プログラムだとか、漫画とかの絵師さん方でも描き方というのは素直に勉強を重ねることに疑念など抱かないのに、どういうわけか文字書きだけは例外のようで、ノウハウが軽視されているように見えるのが何とも不思議な現象です。


 これは片方に「小説は努力なしでも成功できる」という迷信が未だ根強く信仰されているせいではないか、と思う次第。絵が描けないから小説にした系のアレね。宝くじと同系列のドリームがあるのでしょう。それが根底にある人は技術を否定します。


 しかし、文章の技術とか創作論とかは、そんなに肩肘張って考えるほど敷居の高いものではないんですよ。しばしば料理に喩えられるように、日々のお惣菜を作るちょっとしたコツと同じ程度のことを、体系立てて考えてみよう、というだけの話です。


 料理だって「さしすせそ」とかのノウハウがあり、それは素直に受け入れるじゃないですか、同じに考えて自分なりのノウハウを纏めるところから、クオリティの向上は始まるものとお考えください。まるきり料理と同じですんで。


 まぁ、私のように「舌がバカ=才能がない」のケースもあるので一概には言えないのですけどね、何事も。感覚方面の事柄が、何事においても「才能」と呼ばれるのではないかと思います。体系立てることが不可能な領域ですわね。


 味噌汁が昆布出汁か鰹節かが解かるのが才能ありですがそれは普通でもありまして、解からないのが才能無しで向いていない人になり、化学調味料か天然かが解かってしまうのが逸材ですわ。天才というのはこの逸材の中のさらに上澄みの一握り。

 なので、天才を引き合いに出すと話が果てしなく逸れていってしまうのですね。


 小説における出汁に相当するものが何であるかと言えば、それは小説というものは何もただ一つの要素のみで出来ているわけでも評価されるわけでもない、というところへ辿り着き、色んな要素が絡まるから才能のあるなしはまず判断できないのだ、という結論へ至りますね。ただ、足りているかは解からずとも、足りない場合だけは解かります。つまり、「舌がバカ=基本的な違いも解からない」です。それは、ファンタジーをノンフィクションに突っ込んでくるような話で、この違いが解からない人ということです。延長に、化学調味料か天然かの空中戦にあたる、評論家同士による文学かエンタメか問題があったりするわけです。こんなモノ、凡人にはぽかーんです。


 多数決の落とし穴です。

 何も多い方が正しいわけでも優れているわけでもないのです。(憎まれ口)

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