トピック付きの物語手法について
カクヨム内でもスマートフォンニュースとの催しでちょくちょく見かけますが、いわゆる【もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら】系の作品ですが、これの話を少し。
これ、どっちが主体になるかで違ってきます。トピックが主であるのか、物語が主でトピックは添え物なのか、前者であるなら恐ろしく構成が難しくなります。(私がそれゆえに四苦八苦してるのはフォロワーさんたちは皆さんご承知と思います)
文香さん形式の、会話主体で講義モドキな内容を親しみやすく提示したカタチの書き方講座は、私が文香さんをやりだした頃は目新しかったものの、今ではそこら中に転がっていてもう狙い目のアプローチ法ではなくなっています。
物語形式でのやり方も、同じくであんまり目新しさもなく、今ではデメリットの「迂遠さ」の方が目立っているくらいでしょう。そう、物語式や会話式は、トピックが直裁ではない分、迂遠になってしまってまだるっこしい。なので、目新しさがあるうちにしか通用しないやり方ですわ。ピクシブやキンドルのように、「表」や「画像」を入れられる場所ならまだ戦えるのだけど。
この、書き方エッセイを清書して仕上げてしまう前に、どういう形態にするかという点で考えるのが難しいわけです。だいたい、ベータ版を挙げてしまうと、完成版を挙げる前にこのように世間に模倣品が溢れ返ってしまうので。(模倣といって、それらが私を模倣したとかいうつもりはありませんよ、私だって埋もれていたかつてのその形式を発掘してきただけなので)
二匹目、三匹目までです、こういう模倣が世間に通用するのは。プロはそこんとこを理解しているから四匹目、五匹目となるともう出さないから、二匹、三匹目までは市場で命脈を保てたもんなんですが……ズブの素人が参入するようになって、ここら辺の商売のコツなど解からない人が増えて、この命脈がぜんぜん保てなくなったんですな、それで作品は軒並み短命になってしまったのですわ。市場に溢れれば価値は暴落し、売り物にならずに廃棄するしかなくなるっていうのは、畑のキャベツでも何でも同じなのですよ。
すると、勝負するにはただアイデアの目新しさだけでは使えなくなり、質が重要化してきます。つまり、トピックを利用するにただの添え物でくっ付いている程度では読者は付加価値と認めてくれないわけです。
市場を見れば、本屋でスペースを占めているのはノウハウ本と有名人のエッセイ、それに小説でも何か一家言持った作品ばかりという様相を示しています。これは裏返せば、Webでタダ作品が溢れ返り、書物は金など出さなくても読めるという認知が広がった結果です。皮肉なことに、下調べや専門知識など、労力の伴わない書物には金銭的価値はないという流れが起きているわけです。
かつては、努力など小説界隈では評価されませんでした。今は、評価に直結です。
もしドラの場合、ドラッガーメソッドを解説する補足として物語が利用されました。主従は逆転していて、ドラッガーがそのままでは取っ付きにくいからラノベ風のエピソードがくっ付いているという体裁なわけです。ラノベがオマケなのです。
ここに差がある点にちゃんと気付けるかどうかは大事です。例え異世界がOKでも、恐らく募集しているのはトピック主体の作品ではないかと思います。(これは現物のサイト利用者やそのフィールドの読者層を分析しないと解かりませんが)
トピック主体で物語を構成するのはかなり大変だと思っておいてください。まず、どこまで専門知識を内容に含めるのか、その知識をどう解かりやすく解説するのか、この解説こそが主体なのだから逆算でその余白に収まる程度の物語に抑えねばならないわけですが、読者にこっちが主体だと勘違いされない工夫も必要になってきて、と、普通に物語を書くよりも難物だというわけです。
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