キャラクター論②=魅力あるキャラクター=

 私がここのエッセイやら他のあっちこっちで書き散らしている「描写原理主義」的な発言の数々を苦々しく思ってらっさる方も多いかと存じます。


 1に筆力、2に構成、34がなくて5に演出、てな感じに攻撃的ですんで。


 しかし、これら筆力や構成や発想やがマズくても、例の巨星がたった一人生み出されるだけで、ぜんぶが挽回されるのもまた事実。


 魅力あるキャラ/(越えられない壁)/筆力>構成>運>展開>>>発案、てのが正しいのかなぁという気はしますね。 魅力のあるキャラなんてのは、作者自身にもその匂いが嗅ぎ取れてしまうくらい、出現してしまえばまず見逃すわけはないって感じの、尋常じゃない輝きを放ちますからね。


 だけどそれは、メソッドで生み出せるシロモノでは決してないってのもね。


「星降り山荘の殺人」を読んで、何より驚いたのが作家先生の覚悟というか、解かってただろうにあえてトリックの為に巨星のほうを棄ててのけたその決断でしたね。海馬瀬人と同じパターンよ、アレ。書いてるうちに巨星になってったの、先生自身も気付いていたろうに、そのまま計画を押し切った、それが何より凄いと思った作品。

(私ならトリックを棄てたわ、そんでミステリとしては凡作止まりにした)


 キャラクターを作る程度は誰にでも出来る。それを生きたキャラにする方法も、コツさえ掴めばそんなに難しい話じゃない。だけど、魅力を付加するのは至難なのですよ。「魅力ある」と冠詞が付くだけで、他のキャラとは雲泥の差が開く。そのメソッドも存在しない、本当に、神が降りてきた時にしか出現しないのかっていう現象。


 だから、そんなモンに頼ってられないから、技術でカバーするんだよ、っていうごくカンタンなリクツしか書いてませんのよ、多くの指南本って。


 そゆ事だとまずはリクツをご理解ください。



 巨星と他の平凡な星との違いはね、平凡な星は別の物語を読めばあっさりその光は掻き消されてしまうけど、巨星の輝きは別の物語や日常生活に戻る程度じゃ消えないのよ。どんなにクソな性格でも、巨星には熱烈なファンも出来るよね。


 例えばバットマンとジョーカー。バットマンは、主人公補正という下駄が予めで履かされた魅力とも言えるわけ。主役だから、ていうプラス補正ね。それを、ジョーカーは適役というマイナス補正付きで、同等の位置で張り合う構図になってんの。格下と感じさせない、てのはそういう方程式がそこに存在してんのよ。


 だから、ジョーカー単体でも語られるし、他の敵役とは一線を画すわけよ。


 巨星って、なんかの指南本には作家一人につき一人、みたいな恐ろしいことも書かれていて、本当に生み出せる確率は低いってことだと思ったもんです。







 ウチに来てくれ!!!!!!(祈

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