キャラクター論①=ピカレスクの巨星=

 人気のある悪役ってのが居ます。悪いヤツなんだけどなぜか大人気ってキャラクターね、例えばバットマンの「ジョーカー」とか、羊たちの沈黙などの「レクター博士」やガンダムの「ギレン」ね。悪役、敵役なんだけど人気。


 あと、ピカレスクというのがあって、これは悪人視点で書かれる物語というものだけど、たけし監督の「アウトレイジ」とかね、これは悪人でありながらも魅力ある人物を創造するっていう、かなりハードルの高いとこをクリアしないと書けません。


 少年漫画なんかに見えるパターンの、「悪人ぶってるけど善良なトコもある」というのは厳密にはピカレスクに入れていいもんなのかどうなのか。ここはちょっと定義論になっちゃうので断言は避けたいところですけどね。遊戯王の「海馬瀬人」とか。


 そうそう、「夜神月」を忘れちゃいけませんね、日本の代表格のヤツですから。しかしながら、彼の登場作品、デスノートはこれまたピカレスクと呼んでいいのかどうか、彼を悪役と呼べるのか、ジャンルをどこにすりゃいいのか、迷うトコであります。


 月のように、どこへ分類していいか迷うということは、それすなわち、彼が記号ではない証左でもあり、キャラの魅力という点にも関連するわけです。分類に迷うというより、分類出来ない、ということ。


 記号的なキャラのくせに魅力もある、なんてキャラクターは、ワタクシ、寡聞にして存じあげません。そもそも論で記号的キャラで固められた作品が広く世間で好評価を得ているという事態を、寡聞にして存じませんので。


 いかに魅力的な生きたキャラを作るか。その秘訣を知っている人が居たなら、そっと耳打ちしていただきたい。私が知りたいです。記号で魅力をゴテゴテした金メッキなら簡単だけどもね。


 ジョーカーはともかくレクター博士なんざ、残虐ヒドイ人ですけど、それでもカルトな超絶人気ですわな、演じた俳優さんの気迫って部分も大きいでしょうけど、なかなか興味深いところがあります。


 設定としてはプラス要素の、頭脳明晰、スマートで洒落もわかる、意外に紳士とかもあるものの、覆い隠して余りあるマイナス要素の、残虐さ、変態性、異常さ、などがあって、プラスなんか吹き飛びそうです。


 ただ、ジョーカーとレクターには共通点もあり、卑屈さは演技だけ、てのがね。ジョーカーはよく卑屈な態度でバットマンに接しますが、それは挑発でしかないです。レクターも歩み寄る姿勢を見せますが、ただの罠。両者ともプライドの高さを滲ませます、表面では言及されない高潔さがある。そして、バカではないのもあります。これは月にもありますし、悪党ぶったイイヤツ系のキャラで人気のヤツには多い気がします。


 逆で考えてみましょう。


 卑屈でバカで性格も悪い、これは嫌われるという事ですかね。(身も蓋も的な)



 いやいやいや、卑屈でバカで性格も難あり、これはWeb漫画で見た覚えがあります。タイトル忘れましたが、確か私がモテないのはどーたらとか言う内容の漫画のヒドインがそんな感じの、性格はまぁひねくれてるだけだったような気もしますが。


 突き抜ければ反転して魅力になるというよりも、彼女は「生きて」ましたかね。途中で縁が切れて、今は連載を追ってはいないので現在はどうなっているものやら。


 注:ここでいう「バカ」とは地頭のバカです。

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