キャラをベツモノに、個性を付ける④~読者層選定~

 さて、作品の大枠は「推理小説で、藪の中をやる。トリック>人情味」と決めており、これを譲るつもりはありません。トリックメインで行きます。


 となれば、狙うべき読者層もそれに見合ったトコに定めていきます。推理クラスタで、今なら綾辻氏とか連城氏とか東野氏とかを読む層を狙ってみる?

 しかし、そうなれば当然ですが、数々の名作に挑むことになります。あのクオリティを目指そうくらいは思っていなくちゃ、足元にすら及べないからです。


 カクヨムでの発表を考えてみましょう。いちおう、そういう規定ですんでカクヨムで発表しますが、考えてみてください。綾辻級、あるいは連城、東野級のミステリがカクヨムではどのくらいの評価を得ていますか? その前に存在します? ランキングを見ても、個々のタイトルの点数を見ても、ミステリの読み手など居なさそうです。書き手は増えてきてるけど、腕の方は解からないんでパス。


 きっとね、自分で探すのは面倒だけど「凄いよ!」と誰かが言えばほいほい読みに行くくらいの読者なら大勢居ると思います。ただ、誰かに凄いよと言ってもらうのは大変です。

 人にお勧めしても自分が恥ずかしくならない、そういう凄い作品でないと、人はお勧めなどしないからです。あるいはもう人気で多くが凄いと言っていてハードルが下がっていなければ。ちょっとくらい凄くても、埋もれるのです。

 最初の一人目、二人目、になる読者の選定眼は厳しい。多数の人が勧めているモノが案外肩透かしだったりの率が高いのはそのせいです。


 今回の「編集W」の賞、条件はラノベであること、ここがネックです。ラノベの想定読者層は中高生男子とされています。その年代の男の子の頭の中身なんてエッチしかないじゃないですか。(偏見)

 だから、ラノベでは「可愛いヒロイン」と「イチャイチャ」は外すことが出来ない。つまり、推理と言いつつメイン要素は「恋愛」なのです。あるいは「女の子鑑賞」です。それがしっかりしていて、なおかつ他の要素で凄いのがあればヨシ。


 最近は女性向けも売れ行き好調なので、逆版もアリです。「カッコイイ男」と「惚れられてる描写」あーんど、「男の子鑑賞」でしょう。まずはそれ。それがラノベ。


 ラノベというジャンルは欲張りなのです。「恋愛」だけじゃダメだ、と。プラスアルファ、この要素がほんとのオマケではダメなのがラノベです。八割恋愛で占めただけではラノベとは言い難いというか……。何かが無いとアカンというか。それが魔法だったり能力者だったりの、設定ですわな。青春小説はラノベではない、と。


 しかし、二本柱は面倒臭いのですよね、基本的に。「キャラ小説」でも触れましたが、キャラの魅力がまずあって、さらに物語でも凄いというのが理想。例えばキャラが良ければ、ストーリーが尻きれトンボでも、イマイチでも、まだ許されるわけです。メインがキャラなので。これが他ジャンルだと逆なのですわ。キャラや恋愛などどーでもヨロシイわけで、だけどラノベだとそっちがむしろメイン。困る……。


 ふーてんの寅さん、ストーリーはヒロインに岡惚れした寅さんが、だけど恋愛そっちのけに事件を解決するわけっすよ。それはしかしラノベではないのです。


 恋愛感情をメインに据えつつ、事件も同時進行……これ、難易度高いのよ。事件を複雑なものにしたら、理解が追いつかないよ? ダブルタスクで処理してるわけだからさ、読者の脳みそ。メインが恋愛でサブが他の、となるとどうしたってサブは制限が掛かります。それがラノベの難点ですかね。漫画とかアニメなら処理情報の量が違うから両立できるんだけどねぇ。難しいな。うーん。


 読者のおつむが賢くなったから、処理力が上がって、昔は要素一つでいっぱいいっぱいだったものが、余裕が出てきちゃったか。で、余力の分だけ他のを欲しがっているのではないかと予測。漫画は要求に応えてきたもんな。

 漫画とかに慣れた層が読者に流れ込んできてるから、要求が高い、高い。(苦笑


 二本立ての「恋愛」と「何か」なので、長大なストーリーになるんだろうね。二本分書くのと同じなわけですわ。ヒロインが増えたり事件が増えればさらに増量。

 内容的にはものすごく濃いものを要求してくるけど、文章を読むのにはまだ慣れていない読者が多いから、平坦な文章で書かねば、となるわけですかな。処理力も賢さも上がったけど、二本立ての難解小説を理解するまでは届いてない、と。


 描写が鬱陶しいとかも、処理能力に関係するのかなと思います。二倍なら処理できたんだけど、まだ平均で1.5とかなんでしょう。一本立てでは物足りず、二本立てではちょっと余る、だから描写とかの文章は省いてくれ、という要求かなと。

 漫画やアニメとは違うので、そこは呑んだらアカンと思っているが。文章の妙味は死守。一本立てプラス文章で愉しんでほしいもんですな。


 小説に馴染みがなかった層が参入して、中身は高レベルを欲しがり、けど文章の価値は教わった事すらないんで知らない、てことだろうね。頭イイから補完能力も高くて、文章が指定文でも自分で想像して補えちゃうという……負のスパイラル。(英語ばっか力入れて国語疎かにするからこんな事になんだよっ)


 本来ならミステリクラスタを選定したいとこですが、有無を言わさぬラノベ読者対象と限定されてますんで、仕方ない。対応策を考えていきましょう。



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