キャラをベツモノに、個性を付ける③~藪の中の難点~
知らぬ人は知らぬだろうが、名作『藪の中』である。芥川龍之介。今なら青空文庫でタダ読み出来ますイイ時代ですね。
読者には解からないこの構造ゆえの難点というのがあり、それは収束させるのが大変というものです。次々と視点が変わり、同じ場面が違う断面を見せることから状況の変化にも富んで、さらには個々は一人称の短編状ですんで書きやすかったりもするのですが、その代わりに、収束させるのがね。どうしたって原作の芥川と比較されますし。それを覚悟してやるのが上策という難物。
構造としてはポピュラーで、次々に視点者が変わってオムニバス形式になるという程度のものから、本格的に芥川を踏襲した作品までピンキリあります。
『藪の中』という作品の白眉な点は、ぼやかされた証言集の中から真実を推測させる手法にあります。この手法自体は平安時代の読み物にも見られたので古い系統のものですが、完全に独立させて際立たせたのはこの作品が初と言われているようです。
ゆえに「真実は藪の中」という言い回しが生まれたくらいです。物書きなら一度はやってみたい作品構造なのですな。
これの難点は、やはり、「わざわざぼやかして証言を多数書き、何人も使って一つの事件を描いたのだから、それ相応の凄い真相が隠されているだろう。」という期待値。これに尽きます。しかも、芥川が使った「裏側に隠してしまう」という回答はもう使えません、二番煎じが通用しない有名人なので。
つまり、真相は藪の中だよ、的な「書かない」という手はダメなのです、「それもう芥川が使ったやん!」という不満です。まんま『藪の中』ならば書く意味がないだろうと見做されるから。これが難しいんですわ、ラストが。(笑
やろうと思っている人、もしくはもうやっちゃっている人。注意点は「行きはよいよい帰りは怖い」です。頑張ってください。尻切れトンボにご注意。
私はね~、これ、締め切りの1月4日で間に合わんと思ったら下げて公募に回すから、ラストの謎解きパートは最後の最後までUPしないつもりです。(勿体無いよーな気がしてきたので、恭介のに書き換えて、公募でメフィストへ突っ込みます)
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