カクヨム、コンテスト三回目だってよ。

 さて、「人間を書く」のが小説だと解かっていただけたと思います。以前にハイロック氏とやりあった時、彼が言っていた辺りの違和感は、実は二種あるアプローチの片方の事です。作品全体を通して人間を書く、物語のエピソードに対応する姿を通して人間を描く手法を指していたのです。これは「物語」が重要になるので。

 現在、ラノベでもテンプレでも文学文芸でもこの手法のが多いですわ。ハイ。


 具体的には、異世界に行ったり、事件に遭遇したり、誰かを好きになったり、そういうイベントでどう反応するかを積み重ねていくことで、その人間を描くという意味になります。だから講評などで「キャラがブレている」という評価を貰ったなら、それは各イベントで反応する際のキャラの行動に一貫性がないってことですね。

 多重人格者のように、性格が一定していないって判定を食らったのです。それか、とても普通の人間の反応とは思えないとか、キャラの持つ設定とは外れた反応をしている、という事でしょう。


 ある場面では非常にクールなのに、同じような別の場面では慌てふためく……キャラクターが物語の都合に合わせて動いており、小説の作法としては逆転しているって事です。これなどは例外とされる特殊ジャンルですら許されない破綻です。


 作者は物語が書きたいかもですが、読者の多くは人物に興味があるんですね。だから、極少数の同好の士にしか読まれない。しかしながら、この同好の士ってのは、特にWebでは集まりやすいのでテンプレ小説やケータイ小説のようにWeb限定で流行したりはするんですね。

 今現在開催されているカクヨムコンテストで、あれこれ注文が煩いのもそういう事情で、決してWebの状況がそのまま書籍の購買層とは重ならないからでしょう。売れるモンが欲しいのですよ、カクヨムさん。いや、カドカワさん。


 では、市場的には何が売れるかといえば、あんまり尖りすぎていない、従来通りのルールに準拠した、「読みなれた作法の小説」です。だから、文章で手本にすべきは市販でロングセラー叩き出しているプロ作品ですわ。その中の、自身の作品に近しい文体の小説を基準に書くのが近道です。ラノベだったらやっぱ西尾維新氏がダントツでお勧めでしょうな。彼の、特に特徴的な部分を真似ないこと、が秘訣です。

 Webって、どうしても自分の好きなモノを自分の周りに配してしまって、それが標準だと勘違いを起こしてしまいがちです。その基準のズレを是正する作業が必要なんですわ。コンテストで求められているのは、市場が面白がるだろう作品です。Web上で、ではないのですな。Webの動向を気にするのはテンプレ系だけです。その他のジャンルはすべて、市場の動向が基準となります。レッツ本屋さん!


 ついで、物語。ダイジェストにしてつまんねーモンは、引き伸ばしたってつまらん。これです。そろそろ市場ではテンプレが飽きられてます。箇条書きにしたら皆一緒だからです。ダイジェスト化ってのは、箇条書きにするって事で、その状態においてはWebでウケる作品は似たり寄ったりだという事です。二次創作作品の感覚だと思いますが。似たり寄ったりの作品を求める読者が集まってるのでしょう。

 けれど、カドカワさん的にもそういう求めであるかどうかを、参加する作者は吟味しないといけませんわ。似たり寄ったりを求める読者の何割が、実際市販されたとして買うのか? ここです。

 Webで人気という看板は今どれだけ集客力があるか、Webの大賞受賞という看板も同じく。それに釣られて買ってくれる読者がどれだけ見込めるか、ファンが居てそれが固定客にまでなってる作者さんならもっとイイ。そんな計算がカドカワさんの頭ん中です。Webの人気がそのまんま市販後も保たれるかどうか、です。たぶんね、そこしか気にしてないと思うよ~。


 いくらイイ作品でも人気がない、いくら人気作でもモロ二次創作、こういうのは多分、編集部としても頭を抱えることでしょう。イイ作品でも、場所柄で場違いだったら賞で推しても浮上しないからね。そしたら、Webで人気作って看板が使えない。

 似たり寄ったりダイジェストになろうとも、売れる見込みがあるジャンル、それは「キャラ小説」だけでしょうね、今。


 というわけで、次はキャラ小説について。


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