「キャラが勝手に動くってなに?(汗) 」【改訂】

 生っぽい台詞がどういう理屈で成り立つかを説明しました。

 まず、生きてる台詞が書けるのが、生きたキャラを書けるってのの前提なので。


 次は行動原理をチェックします。これがチェックしにくいんですよ、ファンタジー系のキャラクターはぁ。世界が違えば常識が変わるでしょ。


 異世界系の話は、するってぇと、二つの常識を書き分けねばならないんです。


 異界に飛ばされた者たちの常識と、その異界に元から居る者たちの常識は違うもののはずです。ここで名称まで違うほど徹底したら正統派ファンタジーでしょう。

 ハイファンタジーとは異世界の常識だけの物語で、ローファンタジーは中心となる主役がこちらの常識持ちの物語。二つの常識の比較が発生します。で、これらの常識が一貫していないと、物語が破綻していると見做されます。(その舞台である必要性とか、まぁ、他にも色々とありますけどもぉ~)


 この、常識が破綻してないかどうか、というのが厄介なんですわ。

 これを端折ったから改訂前の解説は支離滅裂でした。(笑



 キャラが行動しますね、例えば乗ってた客船が転覆して自分は運よくボートに助けられましたが、まだまだ溺れてる人は居ます、子供を差し出すご婦人が近くに居る、その時に自分が冷たい海に入ってご婦人と子供を代わりに乗せてあげるのか、目を背けて二人が沈んでいくのを感じながら心で詫びるのか、どっちに展開させてもまぁ「読者の理解の範疇」ですわ。理解できる、これ大事。


 しかし、例えばここで超展開を思いつき、子供を受け取ったトコでご婦人がサメに襲われて沈んじゃった……なんてのは「読者の納得の外」です。予想外って、「場合によっちゃとても納得行かねーぜ、」の別名です。


 一見では斬新とか予想外とか言われるんですが、判定が先延ばしされただけで、この後の展開によっては「トンデモ展開」なんです。


 どっから出てきた、サメ。疑問符。


 サメです、サメ。ご婦人退場の為だけの演出なら、間違いなく「ご都合展開」です。だって、サメですもん、サメ。一人食って満足してどっか行くわけないし、群れてると考えるのが「普通に考えた常識」です。サメ映画的な「セオリー」です。


 なんの為に出た、サメ。疑問符重ね貼り。


 これがさらに先の展開で、サメの登場はサクッと解決したりして、それが物語的に「必要だったか、その展開?」という疑問を残してですね、その子供が女の子だったりで後にヒロイン化したとかだったら、もう「ご都合展開」だなと判定されても文句言えません。


 これは展開や世界観での破綻ですが、人物の心の動きでも同じ事が言えるんです。


 あなたの書いているそのキャラクターの思考や行動は、普通の人なら誰でも納得がいくものですか?

 そのキャラクターの心の動きに一貫性があるかどうか、という事です。もともと大雑把であっけらかんとした性格のキャラならば、サメがどうたらは気にしないでしょう。サメだ! 殺せ! でチェーンソーですよ。

 しかし、同様にヒロインの些細な変化も気にしませんよ。矛盾した性格設定になっていない事が大事です。都合よく性格が変化しないように。


 よく書き方の教本に出てくる「説得力をもたせる」ってそういう意味ですよ。


 現実的な物理法則と同じく、人の思考にも法則性があって、そこを無視したものはなんであれ、「トンデモSF、」だの「ファンタジーだから、」だの言われるのは同じなのですね。説得力がない、と揶揄されているのです。リアリティってそれを指すのです。


 キャラクターが生きていないのは、物語が作りモノすぎるせいです。

「大きな嘘がバレないように、小さい部分は本物に拘るのだ、」と言われておりますから、基礎的なセオリーと覚えておいてください。

 世界観やら展開に破綻があれば、読者は警戒してしまいます。すると、要らん事にも気付きやすくなる。そうして、キャラにまで粗捜しの目が向けられるんです。普通はキャラクターって一番チェックの目がユルいのに。


 先のリベンジ!の方で書きましたが、データが不足してたら微妙な違いに気が回らないんですよ。しかし、読者には気が回る人がいる。その数だけ離れるってワケですわ。元々居ない人は別にして、読者が減っていくのはキャラに魅力ないからでっす。

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