冒頭・戦闘描写三種類の解説③
<偏見まみれなWeb小説風の描写>
ジャングルの中で勇者一行はついにゴブリンを見つけた。しかしなんという事だろう、奴らは話に聞いていたよりもはるかに数が多かった。巣穴が近くにあり、その奥には何匹隠れていることか。
勇者は後方の魔導師に合図を送り、魔法での援護をあらかじめ頼んだ。これでぬかりはない。まずは他のゴブリンに指揮を飛ばしている、あのリーダー格を倒す!
勇者はそっとジャングルの中を移動した。見つかっては元も子もない、姿を見られぬように木々の間を隠れながら進む。そしてついに、至近距離に近付いた。魔導師と目配せをしあい、勇者は一気に駆け出した。
<解説>
これは、魔改造②の私が書いた部分をダイジェスト化した文章ですけども。さすがにここまでヒドいのはWebでもあんまり見かけませんわな。(笑
文章の種類というか、性質が違うんですけど、例えばこの部分なんか。
<魔改造②から>
連中が屯する台地には、巣穴と思しき岩の割れ目が、深く、そのまま洞窟に続いている事を教えている。出掛けに地図を見てきたが、あんな場所に洞窟の記号は付けられてはいなかったはずだ。
話が違う―― 二、三匹程度と聞いてきたが、実情はかけ離れたものだった。
<偏見まみれ>
奴らは話に聞いていたよりもはるかに数が多かった。巣穴が近くにあり、その奥には何匹隠れていることか。
<解説>
対応する部分を抜き出してみましたが、何が違うと言っているか解かるでしょうか。とにかく風景に関する情報がまるでないんですけどね。
景色を示す手掛かりは唯一「ジャングル」という単語一つ。後はすべて読者の、既存のイメージに丸投げです。漫画でもアニメでも映画でも、好きな場面からデータを引用してね、というスタンス。
先に魔改造②があるんで、読者はそっちの影響を受けているとは思いますケド。これはまさしくダイジェストか、あるいは下書きのメモです。
魔改造②の文章には、当事者の勇者には解からない事は解からない風に書いてますが、こっちの文章ではサクッと書いてしまってます。巣穴かどうかは、この時点では勇者には解からんのですよ。だから、疑念のカタチで、巣穴かな?という描写になってる。それが、偏見の方ではサクッと巣穴だと書いてしまってる。作者用の仕様書みたいです。
イベントの要点だけしか書いてないんですよ。
小説には、雰囲気とか密度というものが現われます。テイストです。これがないんです。無味乾燥。本当にストーリーだけを抽出してきたかのような感じです。
本当に、さすがにWeb広しといえど、ここまでヒドいのは私は見た覚えがないんで、これは大袈裟に書きすぎなんですけどね。だから偏見まみれ。(笑
けど、前ページの悪い見本市で出したスベりまくりのヤツよりはマシ。
要するに、中途半端はイカンよ、て事です。前ページのに比べればスラスラ読めるだけいいですもん。雰囲気もへったくれもないダイジェストでも。サクサク読める。
そしたら後は、好みの問題になってしまうのです。
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