【改訂版】魔改造二種類!②
では、ゴブリンやら状況説明やらを先に描写で書いてから、引用の戦闘文をくっ付けてみます。描写のレベルを合わせねばならない、という言葉が解かりよいように、丁寧な描写文を付けてみます。
勇者パーティとゴブリンとクエスト受けた経緯はもう先に書いてあった設定で。
<戦闘前と戦闘中で描写密度が変わるケース>
密林の中とは言え、まったく陽が差さない暗がりではなかった。見上げれば、濃霧は梢の辺りに白く渦を巻いて、湿度の高さを教えている。じっとりと暑く、ぬかるんだ足元では踏みしめた靴の周囲に水が染み出てくる。熱帯雨林は四六時中、小雨が降ったり止んだりで、目に映るすべては濡れ光っていた。
周囲は明るい。木々の肌目に緑青のような苔が張り付いている、その色合い程度は見分けが付いた。朝に特有の白い陽が、枝の隙間を縫い、青黒い木々の陰に帯となって差し込んでいる。薄気味の悪い鳴き声がどこからか木魂した。
出来る限りと音を殺し、湿った大地をゆっくりと行軍してきた。足場が悪く、コンデションとしても最悪だ。立ち回りに邪魔な細い木がひょろひょろと行く手を阻んでいる。
足音を忍ばせて歩むその先に、今度のターゲットが群れている。ゴブリン。本来は水辺を好むモンスターではないはずだ。彼らの背後は少しばかり開けた台地で、さらに奥にある渓流は水嵩を増してごうごうと流れていた。
戦闘には不向きな地形。勇者は後続の仲間に合図を送り、近くへ寄るよう指示を出した。樹の陰に隠れて様子を窺う限りでは、まだ敵に察知されてはいない。連中が屯する台地には、巣穴と思しき岩の割れ目が、深く、そのまま洞窟に続いている事を教えている。出掛けに地図を見てきたが、あんな場所に洞窟の記号は付けられてはいなかったはずだ。
話が違う―― 二、三匹程度と聞いてきたが、実情はかけ離れたものだった。
勇者は一同に制止を掛け、手を水平にじっと機会を待つ。窺う先のゴブリンはまだ数が多い、半数ほどがどこかへ移動するまではここで待機するつもりだ。
ゴブリンの肌は人間と同じに個体差で色が違う。総じて緑系統ではあるが、今、勇者の見ている個体は、煤けた水藻のような色合いをしていた。緑カビのような色だ。恐らくは現場の指揮を取るリーダー格で、他の仲間に指示を出す様子が度々見られた。
出来ればあのリーダーは最初に始末しておきたい。勇者は後方を振り返り、魔導師に向かって目配せを送る。彼も様子見のうちに状況を把握して、狙うべきがどれかを既に見定めている。小さな頷きの後、口中で呪文を転がした。
じりじりと時間が過ぎていく。また音もなく雨が落ち始めた。銀糸はやがて本降りとなり、激しい雨音を響かせる。勇者たちの身体を冷たく濡らし、ゴブリンたちも濡らした。勇者が剣を引き抜くと、仲間たちもそれに倣う。
雨に打たれ、大慌てで散っていく、そこに出来た隙を逃さなかった。一気に、駆ける速度は最速に達する。至近距離に迫った標的にぴたりと狙いを定めている。視界の中でゴブリンの表情が急速に変化した。驚き。当惑。憤怒。そして怒号を轟かせた。
勇者の振り下ろした剣は、まっすぐ、ゴブリンの頭上に向かっていったが、そこにはすでに目的の姿はなく、剣はただ空を切ることとなった。全く手ごたえのない虚空を切ってしまったせいで、勇者の体はそのまま前のめりに倒れ、体勢を崩してしまう。
その無防備なスキをゴブリンが見逃すはずもなく、まっすぐ勇者の背中に向けてそのたっぷりと質量のある戦斧に全体重をかけながら振り落とそうとするも、間一髪ゴブリンの顔面を、仲間の魔法使いによる灼熱の閃光が襲った。
勇者は態勢を立て直すと、魔法使いの火炎に苦しむゴブリンの胴体を、彼の剛腕から繰り出される最速の斬撃で一断ちにしたのだった!
<解説>
いかがだったでしょう?
どっちかは気に入るけど、どっちかは気に入らないという現象が起きるので、それを問題にしているという意味だったんですが。
違和感を感じない方は……うぅん、(><)
私の実力不足です。申し訳ない。orz (私もそんなに濃厚描写じゃないのョ)
ものすごく描写密度に落差があればはっきりと解かったんですがね。
ああ、けど、逆も言えてしまいますわな。このくらいに戦闘で描写をしてしまったら、それに至るまでの部分でもそれに見合った描写をしてないと釣り合わない、て事を言ってたんです。描写のレベルを統一する、という事です。
うーん、逆に言いたいことがボヤけた感じがするな。どう書けば解かったんだろう。引用文の描写レベルだと、とても読者への依存が高くて、「解かったつもりで書く」度合いが強いんで、そういうのを書けばよかったんだろうか。悩みますな。
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