タラタラ描写してはいけない理由①

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884190039

「☆がつかない作家の苦悩」ハイロック氏のエッセイ。これ、かなり作品批評が勉強になるからね、私の突き放したラノベ感想よりも。ラノベとかWeb小説で行きたい人にはこっちのがお勧め。


 作中で取り上げてもらった御礼にこっちでも紹介か、とか思った方は甘いです。


 ツッコミどころを見つけたから、しかも書いてOKそうなお方だから、喜んで取り上げたという次第。てなわけで、この作品の第二話「情景描写について」にツッコミを入れたいと思いますっ。(笑


 まだるっこしいから、さっさと会話に入ってくれ、と氏は仰る。


 すごーく解かります。文学文芸村の社会ルールに馴染んでない人はそうなんですね、よく訓練された村人たちは描写文大好きですんで。チミタチが荒唐無稽な各種創作設定要素大好きなのと一緒よ、一緒。好きでしょ、魔法に英雄にモテモテ。文学村ではそんなもんより緻密な描写のが好まれるわけですよ。価値観の違いね。


 けど、価値観を置いても、実は、例に挙げられた描写はどこでも好まれなかったりするんですよ。氏が仰るように、それがまた全編で隈なくやられた日にゃぁね。



 ゴブリン戦を題材に解説されてますが、確かにザコ戦、本題にも絡まないようなシーンの詳細な描写はあんまり感心しません。喩えるなら刺身のツマなんぞ食わずに棄てる人のが多いわけですわ。なんで付いてんのかと言えば、ただの飾りですが何か? てな感じだし。よくあるゴブリン戦はね。


 描写の為の描写なんてのは、どのジャンルでも好まれない。(笑


 小説に無駄は一文もない、は真理です。ただし、無駄なく使ってるから無駄がないっていうだけで、無駄に書けばそれは無駄な文章だと思うよ~~~~ん。


 話がズレましたが、よくあるゴブリン戦はただの飾りだから、読むとまだるっこしくて、そんなに文章連ねる必要がどこにあるんだ、となるだけなんですな。これ、ハリウッドのアクション映画と比較していただけば解かりよいです。


 ヒットした「デッドプール」、あれも戦闘が八割占めてましたけど、別にダレたりはしませんでしたよね。なぜかというと、氏が取り上げていたゴブリン戦はデッドプールにおけるザコ戦闘の中の、敵のザコ一人分に相当するからです。

 映画だと銃で一発撃ち抜いて終わるようなザコ一匹に、何分掛ける気だ、コラ。となりますわな。物語における彼の役割を考えると、それこそ一瞬ほどの時間しか割いてはいけないわけです。ザコなんだから!


 これは、一発撃ち抜いて終わるザコ敵を延々描写した事による「物語のダレ」です。デッドプールではザコはきちんと一発で処理してます。


 その一発を何十回繰り返し、その撃ち方がほぼ全部違うというバリエーションを加えて、集団戦闘というシーンの演出をしてるんですね。さらにはこのバリエーションがかなりおふざけなので、主人公の性格まで滲み出てます。

 集団戦闘によって、実際には、主人公がどういう人間なのかを聴衆にアピールしてるんです。ふざけた性格で、射撃の腕は一流で、という感じに。

 ザコをザコとして描写するならザコらしく瞬殺しましょう。


 しかし中には、ザコ戦闘をかなり丁寧に長い時間、描写する作品もあります。それは「ザコ一匹倒すにも苦労している」という描写になってるはずです。ザコをザコとして描くのか、そのザコがどういう役割を持っているかを整理して書いてないから、無駄なシーンを丁寧に描写してしまうという愚を犯すわけですね。


 しかし、テンプレの場合はこの「ザコ一匹にも苦労する」という演出も考えものだったりします。無駄な描写は嫌がられる、という観点で見ると、テンプレの落とし穴が見えるわけです。


つづく。

 

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