社会背景を考える
テンプレ作品などはシェアの側面があるんで、この点が非常に強いんですけども、これを使わず作品を作るとなると、社会背景から構築していかないといけません。
現代を舞台にするのが無難ですが、がっつり現代しか出さないってジャンルは少ないんでねぇ……。カクヨムを見ていても、どこかファンタジー色を入れたいのが人情のようなので、荒唐無稽をどうリアリティ付けるかを解説してみたいと思います。
オカルト系の、幽霊あたりなら問題なく組み込めるんですけどね、もともと世間でも広く認知されてますんで。あと、天使とか悪魔も無難でしょう、認知のままの設定を使うのならば、ですが。
現代舞台だと、もともと認知度の高いものを引っ張ってきて、その設定を広げていくというのが割と簡単だろうと思います。天使と悪魔が戦争状態で、この現代の片隅には人々に知られていない魔女の国がある、という具合。まぁ、「ベヨネッタ」ですけどもね。アクションゲー。
他、幽霊から広げるとか、UFOから広げるとか、妖怪から広げるとか、素材は沢山あります。ベヨネッタで言うと、世間に広く認知された魔女の設定をちょいとヒネッて、杖使う魔法でなく髪の毛が媒体になって魔物を召喚したり、魔力弾で無限に撃てる銃器が出たり、という具合。
これの敵が天使で、わらわらとやってきます。狂信者的な性格の「天界」と、1ではほぼ絡んでこないから解からん「魔界」と混沌の世界と呼ばれてる「人界」で三位一体の世界観だと天使どもが言ってて、それを自分らの世界に浄化したいという目論みからストーリーが成り立ってます。
つまり、敵の事情から作るのが早いってことです。(見も蓋も論)
ベヨネッタの世界観では、恐らくは真っ先に主人公ベヨネッタの能力が作られ、その能力に理由付けがなされ、その理由に合わせて三位一体の理屈の骨だけができて、天界、魔界、人界のうち、魔界を中立的に(主役がパワー貰う場所なので)、敵対する天界を敵に設定したものでしょうか。
そこから順に、天使軍の事情が作られ、主役が賛同できない理由に基づく彼らの目的が作られ、逆算で主役の生い立ちに関連する各種エピソードが組まれ、全体を見渡した後で、各所の調整で最終的なストーリーが組み上げられたものと思います。
世界観を借りるテンプレやシェアの場合、書き手はあまり全体像を考えずに思いつくままに書いていけますが、借りない場合にそれをやるとほぼ空中分解します。あるいは、オリジナルを書いているつもりで、どこかで見た話をなぞってしまいます。もしくは、にっちもさっちも行かなくなり、エターナルへ旅立ちます。
物語というのは、先へ進めると、どんどん選択肢が少なくなっていくんですね。
思いつきだけでダラダラ書いても整合性をつけて終わらせられる人も居ますが、そういう人はほぼ、引き出しの数が尋常ではないって事です。ご注意。
広げに広げたその大風呂敷をきちんと畳めるかどうか、思いつくままに書いていると、とんでもない量の伏線をばら撒いてしまって回収不能に陥ります。きれいに終わっている物語って実は難易度高いのですよ。
逆に言うと、全体を把握して逆算で書ける人ならば、完結させることはさほど重要ではなくなるって事です。完結しないのは力量が原因ではないから。
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