「悪文」

 一文の長さはどのくらいが適量でしょうか。


 これも用途によって変わりますし、書き手の技量にもよります。長い文章になるほどコントロールが難しくなるので、ヘンテコな文になりやすいのです。それだけの事でして、長けりゃいいわけでも、逆に短いほうが良いわけでもないです。


 気をつけるべきは、「ねじれ文」というものです。文章は、主語と述語、装飾語など色々と駆使して作るわけですが、長い文章はときたま、文意がねじれていて違和感を与えるものが出来てしまったりします。


 一文というのは、句読点の(。)で区切られるまでの一文のことです。上でいうなら、『気をつけるべきは、「ねじれ文」というものです。』と『文章は、主語と述語、装飾語など色々と駆使して作るわけですが、長い文章はときたま、文意がねじれていて違和感を与えるものが出来てしまったりします。』がそうです。


 長さがずいぶん違いますけど、これはどれだけ長かろうが別に構わないものです。長くなると捩れやすくなるのでコントロール出来ないなら止めとけ、くらいのもの。


 あと、「うなぎ文」というのもあります。これは、文章の意図がよく解からないことを指して、ぬるぬると掴みどころがないという意味でそう呼ばれます。これも長いセンテンスの文ほど陥りやすいと言われています。


 さらに、一文が長くなるという事は、主語・述語・目的語・指示語、という他に、修飾語やらなんやらがゴテゴテとくっ付いていたりするから、だったりなんですけども、修飾語には特に注意が必要です。


 同じ意味の言葉が二重に掛かってしまったりはまだ解かりやすいミスですが、細かい事を言えば、用法が間違っている、付けるべきではない修飾語を付けているってケースが出てくるので気をつけねばなりません。


 それから、描写主体でていねいにシーンを描こうとする作風だと、特に気をつけるべき事があります。描写のバラつきです。


 具体的には、装飾の加減が物語の最初と最後で減っていたり増えていたり、文体や文章の印象が途中で違ってしまったり、装飾語の使用法が変わってしまったりする現象のことです。これも文章のコントロールが出来てないって事ですが。


 それに、装飾語などの単語を適当にくっ付けて文章を綴っていると、丁寧に読み解く読者には違和感を与えます。それは流し読みの読者にしか通じません。


 特に、戦闘描写や緊迫のシーンは描写の濃淡が急激に変化しやすいので注意してください。緊張感を出す演出のつもりで短文中心に、描写をシンプルにしたつもりでも、読者にしたら「急にスカスカになった、」としか思われてなかったりします。


 こってり描写が好みの作者にとっては、戦闘描写は鬼門ともなりますので注意。

 

 ていねいな描写を好む読者は、ていねいに読みます。一語一語の意味まで考えて読んでくれたりしているので、適当な文章を書けばすぐバレます。ていねいな文体を目指すなら、一文一文をじっくり試行錯誤して書かねば、読者と釣り合いません。


 いわゆるヘビーノベルと呼ばれる、描写がしっかりなされた作品を書きたければ、単語の一つひとつを吟味して丁寧に書いてください。その姿勢なしに思いつくままで書き殴っても、読者を引き込む文章にはならないと肝に銘じてください。


 追加でもう一つ。「抽象文」があります。


 これは、具体性に欠けていて、要領を得ない文章です。結局何を言いたいのか解からない文章って、ちょいちょい見かけますんで気をつけてください。

 全体的に抽象的だと、何を言いたい物語なのか解からん、という事も起きます。これが概ねでの「心に何も残らない作品」の正体だったりも少なくないです。


 書きたいシーンがあるのは結構ですが、そのシーンの意味を作者さんはちゃんと把握してから書きましょう、と。


 あとは、分量の割に大した価値がない、もあります。「読んで損した!」は文章量に見合った内容を描けていない時に、読後感想で貰ったりできます。

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