せいなる夜を

霜月二十三

せいなる夜を

 モンス島にクリスマスの季節がきた。雪が降り始める寒い季節に

カップルだか家族だかが一緒になって

クリスマスケーキとかのごちそうを食べて

ヨルをいろんな意味で楽しく過ごし

ムニャムニャとでも言いながら眠る。

 それがモンス島民の一般的なクリスマスの過ごし方である。


 今年の彼……と女のクリスマスは周りと一味違う。

まず、共に過ごすダイニングが暖かいのを通り越して暑い。

二人の魔法の力を持ってすれば部屋一つを暑くすることぐらい余裕なのである。

さすがに他の部屋は暑すぎず寒すぎずの適温を維持している。

 そして、上着の類を羽織ってこそいるが服も水着である。


 彼は料理を持ってこようとキッチンに入った。……思いのほか温度差がすごかったらしく、彼は女に部屋の気温を少し下げるようにテレパシーで伝え、料理を取りにいった。


 彼がワゴンに料理を載せて戻ってきた。山に盛ったポテトサラダにブロッコリーやミニトマトや黄色いパプリカをのせてクリスマスツリーのようになったサラダと、パンプキンスープに、スモークサーモンやチーズやイクラなどをクラッカーにのせたカナッペ、そしてメインのローストチキン。

 二人は低アルコールのスパークリングワインで乾杯した後、それらを品よく平らげる。


 デザートとして彼が持ってきたのはクリスマスケーキ……ではなく、ホイップクリームの絞り袋だった。

 ねえケーキは、と女が尋ねると、彼はパチンと指を鳴らし、女の上着パレオを落とさせ、女の水着をあらわにさせた。

 クリームの袋を自分の肩辺りに浮かせた彼は、にやつきながら、女の身体をじっとり眺めながら、女に近づいていく。

 前でひもを結んで留める黒いビキニのトップスで覆われている女の胸は、

彼の愛しの祖母エカテリーナには少し負けるが、なかなかに豊かなもので

彼はそのふくらみを左手で包みこみ、ひゃっ、と声を上げた彼女の背後に回る。

 右のふとももから横をひもで留めるタイプの黒のTバックをはいている故に露出しているヒップにかけて彼の細い指がなぞる。

彼は己の劣情を示すように後ろから女のくびれを抱き、彼女の耳元でこう囁く。

「ケーキは、ボクら自身……って、いや?」


このあと、めちゃくちゃ性なる夜を過ごした。

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せいなる夜を 霜月二十三 @vEAqs1123

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