小学三年生ストーリー

 私は、先日、近くの小学校へ読み語りに行って来ました。

 学年は、三年生です。

 女子十名程度、男子二十五名程度のクラス編成です。

 その日は、病欠が多く、少人数でした。

 担任の先生は、インフルエンザでその朝からお休みになりました。

 他のクラスの先生がおみえになり、慌てておられました。

 ご病気はお辛いので、皆、治るようにと思いました。

 読み語りの本は、図書館で何冊か手に取り、二冊借りて来ました。

 二冊読まれたり、紙芝居をされたりする方もおられるようですが、私は、一冊をゆっくりと読むことにしました。

 小学五年生に読んだ時とは異なり、絵の世界、繰り返される音の世界を楽しむのに向いている本にしました。

 マーティン・ワッデル作、ヘレン・オクセンバリー絵、せなあいこ訳の『はたらきもののあひるどん』です。

 この絵本は、大変な怠け者のご主人ののらくらどんの為に、農場の仕事から家事まで、とても働きもののあひるどんが、ご主人の「しっかりやってるかね」の一言を繰り返し聞かせられて働いていたが、とうとう疲れ切ってしまったのに、めうしらが仕返しをし、ハッピーエンドとなる物語です。

 このお話しのリズミカルな音の世界は、のらくらどんの追い打ちの一言に対して、あひる語で、「くわっ」と答えるところが、メインです。

 特に感情を込めて色々な声色を使い分けながら、リズムで聞き手に違和感を減らし、ストレスフリーで哀しいあひるどんを演じてみました。

 又、絵の世界は、豊かな農場の美しい色合いで構成されていましたので、その分かりやすさを残しつつ、あひるどんや他の登場人物の気持ちの表れを、見開きに大きなシーンでは細々と、何シーンもあるのならばシーンごとに、掌で指し示して読み進めました。

 又、その際に補足もしました。

 生徒は、お母さんが喋っているよと、声色も変わるせいもあってか、面白かったようです。

 読み終わると、挙手して、感想をいただきました。

 本の内容を理解し、「あひるどんが可哀想でした」と、私にまで、「読み方が上手です」と感想を聞かせてくれました。

 日直の二人の掛け声で、揃ってお礼を言われました。

 そこで、私からも一言述べさせていただきました。

「心の感想は、一人一人あると思います。それは、大切にしてください」です。

 これが、三年生の読み語りです。

 読み語りにあたって、余裕を持って絵本を読めたことが、三年生という学年に合っていたと思いましたし、楽しく、情緒を豊かに育んでくれたら嬉しいと思いました。

 会う度に、懐いてくれる生徒がいて、とても可愛いと思います。

 もう、三年生なのですね。



 終わり

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読み語りボランティア2 いすみ 静江 @uhi_cna

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