7. EXIT! アリスのお茶会
「ほら、ユウ。いつまで寝ているの?」
昨日に、2度目のム○カを見たので、今日は休みの日のはずだが、珍しく日向は俺を起こそうと躍起になっている。こういう時にお偉いさんなら『遺憾の意』でも『表明する』のだろうか? いや、そもそも、遺憾の使い方が間違っているな。
こういう時は庶民的な言葉を使い、格好をつけずに、腹が立つでいいのかもしれない。
「ねえ、ユウ。覚えてる? 昨日アリス先輩と約束したこと」
「ハッ・・・」
俺は、慌てて布団から飛び起きる。そうだ、歓迎会・・・、半ば脅しのようなやり口ではあったが。
もちろん、そんな面倒くさそうなものに、行きたくは無いが、無視をすると俺の今後の学校生活に支障をきたすかもしれない。って、いや、これでは俺がアリスに屈してしまったみたいでは無いか? 何か、行く理由を・・・。
そうだ。そこには当然ながら、旭も出席するはずだ。今日こそ旭を助け出さなければならない。うん。
俺は、支度しようと近くにあった適当な服を掴み、袖に腕を通す。
そんなことをしている自分自身をなんだか、悲しく思えてきてしまう。なぜなら、昔ならこんなとき「making」とかいう魔法を使ってパッと支度していたのだろうからだ。
別に使えなくなった訳ではないのだけれど、魔法容量圧迫してるしなあ・・・。
「ほら、ユウ。ボケっとしない。お湯かけちゃうよ」
見ると日向の手には、熱々の湯気が立ち上るヤカン。しかも、結構マジな顔をしている。
「よせ、日向。お前の得意な、忙しい朝でも簡単に作れる”日向3分クッキング”が出来なくなるだろ」
「本当に失礼な居候ね。カップ麺なんて得意料理じゃないわ!」
ジョークで場を和ませようとしただけなのに・・・。言葉のチョイスというものはどこの世界でも難しいものだな。
「今、言葉のチョイスというものはどこの世界でも難しいものだな。とか思ってたでしょ?」
「な、なんで分かった!? まさか、それも科学か!?」
魔法の世界でもさすがに人の考えを読む能力はなかったぞ? この世界はお風呂といい、スマホという機械といい、魔法を超えているようだ。
「バカね。ユウの考えていることなんて、科学がなくても分かるわよ」
「なに!? じゃあ、今の俺が何を考えているかも分かるのか?」
何か日向に悟られそうにないことを考えよう。って、日向近い・・・。マジマジとこちらの顔を覗き込んできている。唇まであと15cm、いや、12cmといったところか?
いかん、いかん。意識するな・・・。
「ふふふっ。今ユウが考えていること分かっちゃった。もしかして、あと少しでキスしそうとか思ってたんじゃない?」
「それは、日向が近づいてきたからだろ」
「もしかして、図星? ふふふっ」
こんなのは卑怯だ。日向ごときに腹が立つ。
「俺は、先に行ってるからな」
「朝ごはんは?」
「インスタントなどいらん」
「まって、まだ8時・・・」
無性に腹が立つ。日向のクセに。そういえば、駅前で待ち合わせだったよな。早めに集合場所に到着することはいいことだ。待っていよう。
・・・15分・・・
・・・30分・・・
・・・1時間・・・
いくら待っても誰も来ない。どうしてだ?
・・・1時間37分43秒。やっとアリス先輩がきた。
続いて、1時間42分55秒後、旭と日向が一緒に。
アリス先輩が口を開く。
「あら、皆さん随分とお早いのですね。特に、ユウ。1時間30分以上も待っていたなんて健気ですわね」
「おい、アリス先輩も喧嘩売ってるのか?」
「苛立ちながらも敬意を忘れないユウの根性大好きですわ」
日向と旭が俺とアリス先輩のやりとりを呆れ顔で見ている。今日は一体皆どうしたというのだ? 様子がおかしいぞ。喧嘩売ってきたり、喧嘩売ってきたりと。
「あの。アリス先輩遅くなってすみません」
白々しく日向は口を開く。アリス先輩はそれを見てなんだか企んでいるような笑みを浮かべ
「ユウと別だったみたいだけど喧嘩でもしたのかしらね?」
「そんなことないです。ユウが一歩的に・・・」
「あれ、日向さんがさっきユウに悪いことしちゃったって一緒に来るときお話されていましたよね?」
アリス先輩が煽り、否定した日向に対して旭が詰め寄る。なんて面白いのだろう。ざまあみろ。
「「「ねえ、どうなの?」」」
って、次の瞬間に一斉に俺に詰め寄らないでよ。なんか、修羅場!?
Reverse!エリート魔法使いの異世界テレポート! KACLA −カクラ− @kacla
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