導入は、最近流行り(?)の異世界転移です。
だがしかし、ごく普通のサラリーマン、ヨウスケさん(27)の場合は、何かが違う。
そう……言葉が通じない!あれー!?チートは!?なんかないの!?特別なパゥワー的なものは!?
……ありません。
ないんです。
ついでにいうと冒険の旅に出たりもしません。
普通に働きます。酒場で。
……地味かよ!!
(ご本人の言)
そんなヨウスケさん(27)と異世界をつなぐもの……それは、
グルメ!!
んもーー!!飯テロ!!とんでもなく飯テロ!!間違っても夜中に読んじゃダメです!!
竜の肉とか食べたいに決まってるじゃないか!!なにそれ美味しそう!!
そんな異世界グルメと、ヨウスケさん(27)ご本人の努力と、周囲の人々のあたたかさにより、次第にわかってくるこの世界の言葉や国の情勢。
そこには飯テロで興奮している場合じゃない大きな流れや、悲しみ、不安もあります。
緻密に組み立てられた世界観が、それらをよりリアルに伝えてくれます。
そんなこの世界で何があったのかは……
この作品の本編(前日譚)となる、『Sirdianna』をぜひ併せてお読みください!!
ますます美味しいこの世界が広がります!!
もちろん、単体でもとっても楽しめますし、独特の世界観にどっぷり浸かれますよ!!
本編を読んだ身としては、あの絶望と悲しみを越えた彼らがその後どう生きるのか、そして、突然この世界にやって来てしまったヨウスケさん(27)がどう生きていくのか、ドキドキそわそわです。
異世界はラクじゃないけど、人情味にあふれてる!!
あと美味いもんも!!
よし、がんばろう!!
いろんな部分で、夢と希望と愛しさと切なさと心強さと元気をもらえる作品です!!
主人公のヨースケは、とある事故から突然異世界へ!
しかしチート能力などまるで与えられず、我々と同じように通じない言葉に悩み、慣れない文化に戸惑い、見知らぬ土地での生活に四苦八苦します。
ところが、異世界でも共通するものあり。
それが『食欲』。
世界は違えど、腹が減るのは同じ。その空きっ腹を美味しいもので満たしたいという思いも同じ。
見慣れぬ食材でも、十分、いやそれ以上に素晴らしい料理の数々に、ヨースケだけでなく読んでいる自分まで涎が止まらなくなりました。
そのくらい調理方法と料理の描写がすごいんです!
読んでいるだけでお腹が空いてきて、食べたい食べたい食べたいという欲求に押し流されてしまうのです!!
食事についてばかり触れてしまいましたが、綿密に作り込まれた世界観にも息を飲みます。
ヨースケが徐々に言葉を覚え、この世界がどんなものなのかを知っていくところは生々しいほどのリアリティがあり、まるで自分もヨースケと共にこの『シルディアナ』にいるかのような空気を感じられました。
本編(といって差し支えないのかな?)となる『Sirdianna』も、これから楽しませていただこうと思います。
最初に、注意事項。
お腹が空いているけれど、まだご飯の時間でない人は、最新の注意を払ってこの美味そうな飯の数々と向き合って下さい。
次に、可愛らしい女性と言葉の壁を感じながら、もどかしいコミュニケーションを取るとこにヤキモキしているうちにドキドキしてしまう性質の人は、最新の注意を払い、アンシールの魅力と向き合って下さい。
名作「Sirdianna」の世界を舞台にした、スピンオフファンタジー。Sirdiannaの硬派かつ美しい文体とは一線を画す、ライトな物語。
随所に、ファンに嬉しい演出や描写が散りばめられていて、ナイスです。
主人公がまず言葉の壁にぶち当たるのも、とてもいい。異世界なんだから、当たり前。作者の深い素養と、世界への愛が感じられます。
最後に。Sirdiannaの世界に飛ばされることを想定して、日頃からボールペンは予備を沢山持ち歩きましょう(行きたい)。
補足:シルディアナにも、ペンは売っているそうです。
しかし、書き慣れた日本のボールペンを多く持って行くに越したことはない。持ち物リストに、是非追加を(行く気)。