第17話 Эолотой петушок《ザラトーイ ピトゥショーク》金鶏
「中隊長!」
「何だね、ペトロヴィッチ曹長?」
「やられたのは何処の部隊ですか?」
「第2装甲化狙撃師団所属の部隊だ」
「おいおい、まじか?」
と、ウラジミールがパチンと手を叩いた。
「一昨日の映像だそうだ。二個少隊が哨戒任務中、そのまま連絡が途絶えて、この有様だ」
「あっ、もう一機映った!」
と、オレクが叫んだ。
「いや、三機……四機」
漸く引き揚げる気になったらしい。画面の中のドイツ機は次々と小さくなっていき、吹雪の中に消えて行った。
「って事は、6対4で全滅ですかい?」
「そうだ。司令部から十分警戒するようにとの御達しだ」
「警戒って、どうしろと? こんなのが来たら、瞬殺ですぜ」
ウラジミールの言う事も最もだ。今、我が中隊には三機の装甲狙撃兵が残るのみだ。しかも旧式のDe-3。対峙でもしようものならと思うと、ゾッとする。自殺行為だ。
「せめて、三機だけでもDe-9を今すぐ回してもらえるように出来ませんかね。なあ。そうだろう、ペーチャ?」
「ああ、そうだな」
私はもう一度映像を見ようと、中隊長のタブレットに手を伸ばした。
「上には
「中隊長。何ですか、こりゃ?」
と、ウラジミールが笑いを隠さず、申し上げた。
中隊長も隠れてドイツの宣伝放送を聞いていたらしい。私も笑いを堪えずにいた。
ふと視線を横にやると、オレクが真剣な
「どうした、オレク? 女が恋しくなったか?」
「いえ……」
「それとも、母ちゃんか?」
と、ウラジミールが茶化した。
「これって、使えませんかね?」
「ん、どういう事かね、軍曹?」
と、赤ら顔のテデーエフ中隊長が
「えーと。つまり。我々が女性の振りをして、戦ってみてはどうですか?」
「はぁ? 女装して、戦えだと? お前、気は確かか?」
と、ウラジミールがオレクを一発叩いた。
「いや、そこまでは。声だけです。声だけ。通信だけ、機械で女の声に変えて。勿論、女言葉を使うんですけど。敵がそれを聞いたら、
「女性搭乗員の振りをするという訳だな、オレク軍曹?」
「はい、その通りです」
「面白い。使える!」
「ちょっと待って下さい、中隊長。やだわ~、とか言いながら、操縦しろと?」
「そうだ」
「おい、ペーチャ。お前も何とか言え」
「うん……効果的ではあるな。機械的にも直ぐにでも対応出来そうだし」
「ですよね」
と、オレクは嬉しそうに
ウラジミールは右手で顔を押さえていたが……
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