第13話 羨望

2118年4月12日の火曜日、私は戦地に散らばる新聞班員達から送られてくる記事の校正に身を粉にしていた。誤字・脱字に注意しながらも、何かしらの痕跡がないかと探したが、に繋がる箇所は何も見つからない。

ドアが勢いよく開いた。先程、報道局長に呼ばれて出て行った新聞班長のヴィルヘルム・エヴァルト少佐が戻られたのだ。

「シュライベン少尉、私の部屋に。話がある」

私はびくついた。また、何ぞやと? 吉と出るか、凶と出るか。恐る恐る班長の前に進み出ると、目の前に一枚の封筒が差し出された。

「ライネルト少佐からだ」

こいつは驚きだ。心の中で口笛を吹いた。宝籤たからくじにでも当たった気分だ。

「パーティーへの招待状だそうだ」

エヴァルト班長はそう言うと、うらやましそうな眼付きで、私が手にした招待状を見つめていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る