暁の約束

齋華

序章

 真紅に染まる空に辺り一帯もまるで鮮血を浴びた様に紅く見える。そんな紅一色のそこに不釣り合いなほど真っ白な女。否、白と言うよりは白銀に近いその髪は長く伸ばされていて、肌もまた髪と同じ様に白い。女の周りだけは紅に染ることのないように感じる。――しかし、空の紅さに染まることのないように思えた白い肌は彼女から流れる赤い血によって染まっていた。女の顔は靄がかかっているようによく伺えないがそんな光景とは裏腹にその表情は微笑んでいるようだ。血の気が引き青白く乾いた唇が最後に何かを呟くように微かに動いた____「――――」。発せられたはずの言葉は女の顔のように霞みがかり聞こえているはずなのに分からなかった。




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暁の約束 齋華 @sorayumewaon

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