第1話 We are living our lives.
―――高校二年生の春過ぎ…。
僕は、転校する事になった。
理由は両親の海外転勤であった。
父の家は大きな実業家であり海外にまで進出していた。
その為、小さいときから父親は家にほとんど居なく会話もなかった。
母親は、父親の秘書であり常に共に行動していた。
家にはいつも自分独りだった…。
今回、父親は「事業が成功するまで帰らない」といい残し母親と二人で海外へ飛んだ。
「お前も少しは町を離れるといい。しばらくは私の実家で暮らしなさい。このマンションは出る。」
そう父親は言い放ち僕は、父親の実家にお世話になることになった。
元々住んでいた町にもあまり思い入れはなかったし退屈だった。
―――父親の実家。
電車に揺られ都会のコンクリートジャングルを抜けしばらく走ると夕日に照らされた落ち着いた町並みが広がっていた。
――この街が新しく住む町か……。
そんな風思いながらに窓の外に映る景色を見ていた途端「グォン!」という音と共に電車が急停止した。
ボーッとしていたせいで銀色に輝く手すりに頭をぶつけた…。
痛い。
慌てる乗客たち。
いったい何事かと思っていたらすぐにアナウンスが流れた。
『ただいま次の駅、
「……人身事故?」
「…んだよ、チッこれからデートなのに」
「……あーあ、バイト間に合わないや。また怒られる…」
みんなボソボソと思い思いの愚痴を溢す。
――――。
乗客を見渡していると突然頭を引き裂くような痛みが襲った。
そして誰かの声が聞こえた。
「……痛い痛い痛い痛い…!苦しい苦しい苦しい…!助けてくれ…どうしてこんな…なぜ僕が……痛い…怖い…冷たい…寂しい………。」
―――誰の声だ?
誰かが酷く苦しんでいる…?
乗客をみてもその様な素振りの人は見当たらない…。
痛みはさらに増し視界がボヤけた。
あまりの痛さに僕はその場に倒れ込むようにしゃがんだ。
さっきよりも大きな声が聞こえた。
――これは、頭の中に直接聞こえているのか?
「……こんな、なぜ僕が…?いったい…いったい何をしたっていうんだ…!………許さない。許さない許さない許さない!…殺す…殺す殺す殺す!ぶっ殺してやる!!!」
さっきよりもかなり憤ってるようだ。
――頭が痛い…。ぶつけたせいだろうか?
意識が
???:オニーサンだいジョーブ?
声がする方向へ顔を上げた。
背中をさする声の主は制服を着た女子高校生だった。
???:うわっ!?うっわー……。オニーサン血出てるよ!ちょ、ヤバいっしょ!
慌てる女子高校生。
血?
血なんか出ているのか?
だめだ、意識が
車掌:お客さん大丈夫ですか!しっかり!!
誰かが車掌さんを呼んだようだ。
???:え?ちょ、死んじゃうとかダメ!しっかri……しt…
女子高校生の声が遠くに聞こえる。
―――意識が遠のいていく……。
LINK キリサメ作者 @kirisamesakusya
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