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キリサメ作者

第0話 失われた繋がり

……。


『まもなく、一番線に紬中本町つむぎなかちょう行き普通列車が参ります。危ないですから黄色い線までお下がりください……』


ホームに電車のアナウンスが流れる。






「―――僕は今日、全てを失った……。


友達も、家族も、居場所も、夢も……。


――希望なんかない。






――――だから……。」








スーツの男性:…?おい、君それ以上近づいたr……。






男性の言葉を終える前に彼は冷たい鉄の線路の海へ飛び込んだ。





その飛沫しぶきは赤く、黄昏時の空を染めた。



…ホームに鳴り響くブザー。

引き裂くような悲鳴と、蛆のように溢れるざわめき…。

キラキラと光る白い光…。







「―――……。


これでいいんだ…。


僕は、これで……。」




「「「もう、なにも失わない。」」」






――夕闇の中、また一つ鎖は千切れた

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