新暦40年10月5日
サク。今日は少し良いニュースを二つ届けに来たよ。
まずはおとといから僕の家に暮らすことになった同居人のことが、嫌いではなくなった。やはり同性だからだろうか、根っこの方で趣味や性格は合うみたいだ。昔の僕を見ているようでほんの少しだけ不快なのは事実だけれど、それももう少ししたら慣れるだろう。慣れるというのは悪い面があるかもしれないけれど、今日の僕はそれを良いことと受け取ろうと思っている。君と仲良くなった頃の体力はまだまだ残っているのだから、使わなければ損でもあるからね。
合縁奇縁というけれども、縁というのは本当に不思議なものだと思う。ソフィーが僕の家を囮に使わなければ、そしてハルが僕の家に入らなければ、ハルは無事で済むとは限らなかったのだから。ソフィーがいなければ、彼女が僕の家に来ることもなかった。ソフィーがいなければ、僕が蘇ってしまうことさえもなかった。ソフィーがいたからこそ、この事件が始まったのだ。だから僕の最初の事件は僕の事件ではなく「女神」ソフィアの事件だと言った方がいい。彼女がいなければ僕は存在しない。彼女がいなければ僕が僕でいられなかった。だからこれは彼女の戦いであるし、彼女のための事件なのだ。誰が何と言おうとそれだけは変わらない。だからこその合縁奇縁と言ったのだ。君ならきっとわかってくれるだろう。
次のニュースだよ、サク。記念すべき最初の事件が終わった。僕の探偵事務所も手に入れた。どういう事件を、僕の事務所が引き受けるのかも決めた。これでしばらくはソフィーに関わらなくてもよくなりそうだ。僕の人生は彼女の戦いではない。僕の人生は事件と困難を抱えている人と共にある。誰かのものではなくて、僕のものなのだ。たとえそれが僕の一番の友人のソフィーであっても、愛するサクであっても渡すことも貸すこともできないし、してはいけない。
さて、サク。明日は困っている人を探しに残雪派ゆかりの
白雪文成のリハビリ録 留部このつき @luben0813
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます