国民投票

ネコ エレクトゥス

第1話

実況「只今より日本国国旗、国歌選定国民投票の模様を会場よりライヴでお届けします。私のお隣は解説の塚本さんです。塚本さんよろしくお願いします。」


解説「よろしくお願いします!」


実況「まず初めにこのコンペティションのルールをご説明いたします。このコンペティションは野党第三党の提案により行われるもので、日本の主要政党四党が各自この国の国旗、国歌に相応しいと思われるものを提示し、それをインターネットによる国民投票で決定するものであります。塚本さん、このコンペティションの見所を教えてください。」


解説「はい。一番注目なのはやはり日の丸、君が代がどこまで票を集められるかじゃないでしょうか。それと各党が日の丸、君が代に拘らずどこまで独自色を出せるかも見所だと思います。」


実況「それではコンペティションが始まったようなのでまずは国旗部門から見てまいりましょう。投票提案者の野党第三党から。これは赤旗でしょうか。」


解説「このシチュエーションでの彼等の動きとしては当然じゃないでしょうか。ただ全体の流れとして見た時にちょっと不満が残りますね。」


実況「次は野党第二党。日の丸ですね。王道できました。」


解説「いい状況判断だと思います。この国の伝統を考えると当然有力な選択肢の一つですね。」


実況「続いて野党第一党。おっとこれは?キティーちゃんでしょうか。」


解説「ヤバイ!カワイイ!これはイリーガルではないでしょうか。よくファールの笛が吹かれなかったと思います。ただその分逆に多くの得票が期待できそうです。」


実況「とすると今までの三つの中では最有力でしょうか。」


解説「そこまではどうでしょうか。投票の有資格者が成人以上である点がどう響いてくるか興味深いですね。」


実況「最後は政府与党。これはジャパン・ブルーですね。青の下地にキャプテン翼君が描かれています。」


解説「さすが政府与党、という動きですね。これならチームとしての一体感を出すためにも海外のことを考えても最高の表現だと思います。」


実況「投票の結果は国歌部門が終わり次第お伝えします。続いて国歌部門、まずは野党第三党から。これは何でしょうか……。」


解説「……。」


実況「情報によりますとロシア革命時代の曲で、レーニンが好んで聞いていたそうです。」


解説「ちょっと何てコメントしていいのか分かりませんね。」


実況「場内からはブーイングも起こっています。」


解説「気持ちは分かります。」


実況「お次は第二党。美空ひばりの『河の流れのように』です。君が代ではありませんでした。」


解説「思い切った手を打ってきましたね。でも和の心に訴えるのはいいと思います。特に人口比率の高い高齢者層からは十分得票が期待できると思います。」


実況「続いて第一党。来ました、来ました。SMAP『世界に一つだけの花』。」


解説「いいと思います。若い年齢層に人気があるだけじゃなく、アジアという視点から見ても好判断だと思います。」


実況「最後に政府与党です。ん?これは意外な所から攻めてまいりました。『六甲おろし』です。」


解説「これはジョーカーですね。ただ戦略的に見ればディフェンスの弱いところを攻めるのは理に適っていると思います。それにしても政府与党、言葉は悪いですがえげつない手を打ってきますね。」


実況「お知らせの後はいよいよ国旗、国歌の発表です。」


                 ・


実況「それでは投票結果を発表いたします。」


解説「ワクワクしますね。」


実況「最初に国旗部門の発表です。国旗部門は、与党案キャプテン翼君に決定いたしました。」


解説「順当だと思います。」


実況「そして日本国国旗は、おーっと『六甲おろし』です!与党案が二部門とも制しました。塚本さん、放送の残り時間が少なくなりましたが与党の勝因をお聞かせください。」


解説「はい。まず国旗について言えばチームとしての一体感を出したりとかだけじゃなくスポンサー企業を巻き込んだのが大きいと思います。国歌に関してはちょっと予想外でしたが、阪神タイガースファンだけじゃなく、アンチ巨人ファンの票も取り込めたのが勝因ではないでしょうか。」


実況「翼君と『六甲おろし』が日本国国旗、国歌になったことをお伝えして番組を終了したいと思います。それでは塚本さんありがとうございました。」


解説「ありがとうございました!」


 ろ~っこうおろ~しに~

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