それは魔法のように

@po_ka_mann

第1話

 ーーーー彼等の未来が今よりさらなる輝くことを願ってこれを綴ろう。


 船の中には白熱灯の無駄に眩しい灯りだけが残っている。窓の外は日が落ちたばかりでまだ僅かに空が明るく感じられる。

 故郷に帰る私は、自室に一人篭り手記を綴っている。魔法学校を卒業してから2週間は過ぎただろうか、入学した頃とは全く違う心境と表情を持ってして現れる私を父や母はどのような目で見るのだろう。

 いや、数えても尽きることのない未来の不安を書き綴っても意味はない、ならこの紙には私が卒業するまでに起きた些細な出来事、然し私にとっては人生の分岐点となった日々の概略を記録するとしよう。私を成長させてくれた、大切な友人達との思い出が色褪せることのないように。


 …………今思い返しても胸に暖かな、平和な日々の数々を。


 さあ、いつの頃から書き出せばいいだろう?

 …入学して二年程の月日が経った頃には学校生活に慣れ、学友にも恵まれた。今は陰鬱を覚えた私の身にも、席を並べ共に学びあい、度々巻き起こる不可解な事件の数々を間近で見てきた2人の友人がいる。まず書き記すべきは彼等との出会いからだろうか?


 思うに、盟友と呼ぶに相応しい彼等と交流を始めたきっかけは決して偶然や運命と呼べる物では無かった。

 当時の私はかの歴史あるシャルム・アカデミアの地に足をつけ、そこで出会う様々な物に対し全てに心を惹かれていた為に、初対面の生徒であろうと関係なしに向かってこれと関わろうという活発な精神に浸されていたのだ。

 その意思に満たされた事すら自らの選んだ路だというのなら、これを必然と呼ばずしてなんと言えばいいのだろう。


 学友の二人は名をシュナカム=レヴォーヴィチ、ジーニィ・アッシャー…

 シュナカムとゲニウスという。

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