二十年以上前、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』という映画を鑑賞した。原作はアン・ライス氏の小説である。題名通りの内容で、吸血鬼の孤独と悲哀が描かれた傑作だった。
翻って、本作は吸血鬼と人間の奇妙な友情が描かれている。ただし、あくまでも視点は吸血鬼からのそれに固定されている。つまり、『インタビュー~』が人間のインタビュアー……血を吸われる側、受動的な立場からの質問に対する回答なのに対し、本作はあくまでも血を吸う側、能動的な立場からの告白である。自分が血を吸う対象の種族(の、一員)から理解と友情を求めたくなった気持ちは良くわかる。吸血鬼は不老だが、住家は転々とせざるを得ない。人間は不老ではないが、条件さえそろえば定住できる。知性のある生き物は、時として自分と反対の存在に憧れる。即ち本作は、人間の友との別れを惜しみつつ間接的に人間への羨望を語ってもいるのではないだろうか。