イチオシの作品をひとに薦める、もしくは好きなものを好きというための文章――漫画『球詠』編【約2,100文字】
■前書き
前回同様ネタバレをする見込みである。それを忌避するひとは読まないように注意されたい。
■本文
『
現実に硬式の野球をしている女子生徒の団体は少ないと思いますが、この漫画は男子の高校野球のような感じで女子が野球をしています。そうはいっても髪を黒の丸刈りにすることを強制されることもなく、無造作な髪型から何と呼ぶべきか分からない複雑な髪型まで、個性ゆたかに人物(=キャラクター)がデザインされています。投手などは投球時の見映えを意識してか長髪にデザインされている人物が多い印象を受けます。それにしても、これだけの人物を描きわけるのは至難の業に思えます。ひとによっては、同じようなひとがたくさんいて混同してしまうかもしれません。
我らが舞台の新越谷(以下「新越」)の野球部は、かつての強豪校でありながら、主人公らが入学する前の年度に停部の憂き目にあいます。そのどん底の状態のときに、主人公の
当初は外聞のわるい理由で停部になっていた事実のために偏見にさらされ、他校の生徒から心ないことを言われることもありました。そのうえ、主人公の詠深※自身もみずからの武器を否定される発言を過去にされており、当初は他の追随をゆるさないような投手としての能力を生かして全国を目指すつもりはなかったようです(新越への進学理由は制服となっています)。
しかし新越の名声が高まるに連れてそのようなことはなくなって行きます。第14巻では、そのチームでの出場機会(を得ること)などを理由に新一年生が6人も入部してきたほどです。なお、詠深らが入学した年には三年生の部員がおらず、当時の一年生がチームの主力でした。二年生は3人だけでした(うち1人は途中で入部)。何はともあれ、新一年生らの動きが今後の楽しみのひとつと言えるでしょう。
新体制の部では、硬式軟式あわせて投手の経験者が6人ほどいますが、捕手は2人だけのようです。詠深の同級生の捕手で、互いに仲が良すぎるきらいのある
珠姫によると、チームのエースは詠深のようです。詠深とおなじかそれ以上に注目されているであろう同級生の
15巻まで出ているわけですが、わたしにはお気に入りの場面があります。第2巻の柳川大学付属川越高校(以下「柳大川越」)との練習試合での、二年生の速球派の投手、
新越が復活した最大の功労者が誰なのかはあまりにもむずかしい問題です。エースの詠深や安打製造機の希はもちろん、部が活動停止を強いられても再生を期して部に籍を残しながらクラブチームで活動していた、主将(=キャプテン)の
わたしは野球のことをよく分かっていませんが、もっとも好きな漫画を問われれば本作と答えます。高校野球やプロ野球にくわしいひとならわたしとはだいぶ見え方が変わるかもしれません。また、「百合」(=GL)が好きなひとの需要も満たしてくれるかもしれません。女性よりは男性向けの作品と評して良いかと思います。
■後書き
ここまで読んでくださりありがとうございました。気をつけてはいますが、事実誤認もあるかもしれないことをなにとぞご了承ください。有名で話題になっている漫画だけが漫画ではないことに思いを致してくださったら、わたしとしては幸いです。
※ わたしは、二次元の人物も三次元のひとも等しくちゃん付けをしない人間です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます