自己紹介その六【約1,100文字】
すきな森鴎外(1862-1922)の作品は?
――強いていえば『山椒太夫』。好きというよりもっとも印象に残っている。すこしむかしに再読し、山椒太夫、安寿、厨子王などの人名、舞台が丹後であること、その悲劇的な内容などにいくらか心を動かされた。
すきな夏目漱石(1867-1916)の作品は?
――『三四郎』。読んでから相当のときを経るのでもはや内容や文体をじゅうぶんに覚えていないが、当時はわりと夢中になった。漱石の作品は俳句や漢詩もふくめて八割か九割ほど読んだつもりである(少なくとも長編小説はすべて読んだと思う)。余談だが『こゝろ』はさほど好きではない。
すきな谷崎潤一郎(1886-1965)の作品は?
――『細雪』。わたしが思うに現代人にもつよく支持される可能性をひめた作品である。もっとも、『春琴抄』すら読んでいないわたしの言うことだから話半分に聞くのが賢明であろう。
すきな芥川龍之介(1892-1927)の作品は?
――特にない。芥川の作品はあまり好きになれそうにない。小説だけでなく俳句も。
すきな宮沢賢治(1896-1933)の作品は?
――これと言ってない。消化不良を起こしているようである。
すきな川端康成(1899-1972)の作品は?
――特にない。過去に確実に読んだのは『伊豆の踊り子』だけで、『雪国』も読んだ気がするが記憶から抜け落ちている。
すきな中島敦(1909-1942)の作品は?
――特にない。中島の作品は、おおむかしに学校の授業で「山月記」を読んだだけなので。
すきな太宰治(1909-1948)の作品は?
――強いていえば『走れメロス』。太宰の作品でこれほど娯楽性に富んだものは他にない気がする。
すきな安部公房(1924-1993)の作品は?
――『砂の女』。氏の作品のなかでは一般受けしやすい部類に入るかと思う。
すきな三島由紀夫(1925-1970)の作品は?
――特にない。『金閣寺』くらいしか読んでいないので言えることがほとんどない。
すきな村上春樹(1949-)の作品は?
――ない。村上の作品をまともに読んだことがない。
他のすきな日本の作家の作品は?
――読んでおもしろくて特に印象に残っている小説は、万城目学(1976-)の『鴨川ホルモー』『鹿男あをによし』、森見登美彦(1979-)の『【新釈】走れメロス 他四篇』など。小説以外だと短歌や俳句にもかなり目を通してきたが、近代以後の文芸界隈における小説の優越はゆるぎないと思う。
最後にひとこと。
――ご清聴ありがとうございました。わたしの文学方面における教養のなさを白日のもとにさらす結果になりましたが、ともあれ何らかのかたちで後世に名を残したいものだと思います。
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