かわらけを
ふと かわらけを拾う
かわらけの端を虫が歩く もぞもぞと
歩く ゆらゆらと
歩く ただ歩くままに
その虫を見やりて 後に
ふと 空を仰ぎ見る
かわらけを虫が歩く
こちらを見もせずその意志もなきままに
歩く
ひたひたと
歩く
ほうほうと
その歩みを見やりて のちに
ふと 空を仰ぎ見る
もはや虫はいない
かわらけもない
私は何も拾ってはいない
ただ 歩く もぞもぞと 歩く
ゆらゆらと
歩く
ひたひたと
歩く
ほうほうと
歩く
ふと 空を仰ぎ見る
ふと 空を仰ぎ見て
雲居の彼方に眼が見下ろし
ふと 見下ろし
ふと 見上げて
それはあなたのまなこにて
それはわたしのまなこにて
反転する
私は寄り添い
反転する めくるめく反転する
貴方の声は私の倦怠
貴方の心は私の怒り
貴方の涙は私の刃
反転して反転し 反転して反転する その反転に
私は寄り添い
ふと
空を仰ぎ見て
雲居の彼方にはもはやたそがれ
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