第88話 文字列の上を蟻の行列が這っても

「我々はブザーを陰謀にかけ、嘘の書簡を持たせて大公妃のもとに行くように仕向けた。前にも言った通り、命の数が合っていれば、何の問題もないんだ。我々は決して殺人には手を染めない。その恐ろしさを充分に承知しているからだ。ブザーが大公妃に殺されようが、邸内の爆弾を踏んで死のうが、我々の与り知るところではない。村の広場には猫の肖像画が置かれた。そんなものは存在しない。というのも我々が一瞬で描いたからだ。魚占い師、君が読んだ占いでは、多くの占い師たちが集まっていたが、その中には勿論、我々もいて、頭を抱える振りをしていたが、もし額にハート型の模様がある白い猫が、あの広場を偶然にも横切ったとしても、占い族の誰も認識できなかっただろう。内臓も透けて見えない透明猫や四次元で毛繕いする動物が通ったら、プーなら認識できるかもしれないが、それとは根本的に話が違う。書物の紙面の文字列の上を蟻の行列が這っても、物語の内容に影響を及ぼすことがないようにね。如何なる奇跡も排除するんだ。だってこれは、我々が考えた物語だからだ。それが魂の寄り合いの書に刻印された。いいかい、プーの踊りに意味も希望もないのと同じように、猫を探すことの意味なんて、初めからなかったんだよ」

「プーは無限にやってくる占いを求める客によって、強制的に腕をナイフで切られて傷だらけにされていた。我々が大公の都にあちらこちらに『神の子、奇跡の天才占い師プー』と大きな広告を出したからだ。赤子の顔に血をかけてくださいと頼む母親もいた。我々は気前よく応じた。血をかけたら、怪我や病気が治癒したという事例もあった。そうすると不思議なことに、今度は病人が列を作って無限に現れた。まるで誰かに救ってもらいたくて、その口実を作るために、自分で自分に病気をかけるみたいにね。一番簡単なのは、プーが勝手に出血多量で死んでくれることだった。万一、創作した猫の物語の結界が破られて、深淵まで深く読む者がいても、我々は何も悪いことなどしていない。プーの懐には、金が貯まる。我々は寧ろ、前途ある占い師に無償で協力しただけだ。我々は、それぞれ別の者が、紙に文字を書き、紙を運び、紙に糊をつけて、紙を壁に貼っただけだ。我々は、プーの体を押さえ付けて、客に短刀でプーの腕を傷つけさせて占いを読ませたが、我々はプーの印象には残らなかった。何故なら、この重い役目は当番制で、ほとんどの村人が加担していたからだよ。ブンボローゾヴィッチから分配された財産を使い果たした村人たちは、当たらない占いだけで生計を立てることが困難だった。名もなき占い師たちは、プーに客を紹介して手数料を搾取するほうが効率が良いと考えた。いかに自立するかではなく、いかに他人を利用するかに、持てる能力のすべてを注いだ。表向きは占い師という看板を立てて。プーの体を押さえ付けて寄生し、甘い味のする占いの血を吸った。千本の針でできて吸血する見えない衣服、針帷子はりかたびらのように」

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