12-06 寝れるときに寝て、食えるときに食って備えろ
そこからあとは俺と同じだ。
二つの世界を行き来して
そして、雨の日の八月七日。
タイムリミットとなったその日の一〇時二一分に、誰も巻き込まないよう一人で野幌森林公園へ向かった。
なぜ彼女は向かったのか。なぜ誰も巻き込ませない、という言葉が出てきたのかはわからない。俺の大学ノートのように、ページの半分を過ぎたあとは、ほぼ真っ黒に
そして、おそらく俺は、
彼女を追った。
雨の中を
――彼女が、俺を好きになってしまったことに対する謝罪も。
……なんで、こんな形でラブレターを受け取らなくちゃならないんだよ。
――……ごめんね
霧島榛名が俺を見て、涙を流しながら言ったあのひと言が目に浮かぶ。けれど、ここに書かれている
顔をあげると、柳井さんがうなずく。
「ちばちゃんの話によれば、このノートが
そうか。昨日の夕方に言っていた榛名の言葉、
――本当になにも無かったかのように、普通の、日常に戻ると思うんだ
あれは、このノートを読んだからじゃないのか。
三馬さんがインスピレーションを感じたのとおなじように、榛名の感じた
榛名の部屋を見まわしてみると、父親の
「霧島と、……榛名だな」
俺の目線の先のを見て柳井さんが言う。
「磯野、俺はこのあと親御さんのために、
「柳井さん、けど、俺は――」
「昨日も言ったろ。覚悟しろって。つまり、
自宅に戻った時間は正午過ぎ。
八月二三日 一二時一八分。
俺はそのまま
何時間が
俺は着替えもせずに、そのまま寝ていたらしい。
体の重さは、すこしは抜けた気がする。
このだるさは、なにかに
スマートフォンを見ると、何度にもわたって、着信とSNSからの
八月二四日 一七時三分。
え?
もう一度見るが間違いない。……俺は二四時間以上寝ていたらしい。
俺は
「もしもし! すみません!」
「ああ、磯野か。こっちは大丈夫だ。ちゃんと休めたか」
「……ええ。一日以上寝ていたらしいです」
電話のむこうから笑い声が聞こえてきた。
「それだけ休めば大丈夫だな。寝起きで悪いが部室に来れるか? このあと三馬の時間が空くらしい」
「はい、もちろんです!」
ああ、ここからだ。
俺はタンスから
俺は母親にサンキューとひと言告げると、風呂場を借りてシャワーを浴びた。
八月二四日 十九時三七分。
部室に到着すると、柳井さんと千尋と怜、そして三馬さんが俺を出迎えた。
「ごきげんよう。一日以上寝ていたんだって?
「ははは……
「さて、良い結果を得るために、これから霧島榛名さんを救うための対策を立てることにしよう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます