10.ドッペルゲンガー ちばちゃんの話で榛名の過去が明らかになった。部室に戻ると、竹内千尋が磯野のドッペルゲンガーと遭遇したと言う。
10-01 磯野のリアルラック頼りだが
突然の死の
ドッペルゲンガーに
「磯野、都市伝説としてならそうだ。
だがな、と柳井さんは
「今回起こっているドッペルゲンガー
「……そう、ですね」
ただの都市伝説とはちがう。
原因が
「なあ
「えーと、一時間前かな、十六時過ぎに僕は
「それって、別人の
「あれは磯野だと思うなあ。
高校
俺のことを、しかも顔まで見たのに
「だとしたら、いまもこの大学
「それは大丈夫だと思う。そのあと僕たち三人は文化棟を中心に見てまわったんだけど、ドッペルゲンガーらしきものは
「千尋、柳井さん、
俺の言葉に、三人はほんの少し表情を
「まあ、あんたがドッペルゲンガーと
心配してくれてのことだろう。こいつが気を回してくるのは
そういえばドッペルゲンガーを最初に発見したのもこいつだったか。
「ああ。しかしドッペルゲンガー現象が発生している
不要な刺激……か。けど、それって――
「いまのところは
「いや、この
「一時的な対処、ですか?」
柳井さんは、ああと言ってうなずくと、ポケットからスマートフォンを取り出した。
「これから、SNSのオカ研グループに
――磯野はすでに部室にいる
と送る」
「え? どういうことです?」
「いまこの世界は
そりゃそうだ。
いままで日記があったからこそ、重なり合う俺たちは連絡を取り合うことができた。けど、この世界に実際にいるのはこの俺一人なんだから、スマホを使ったところでどうにもならない。
「一方、今回のドッペルゲンガーは千代田や竹内に見えた。ここが重要だ。つまりドッペルゲンガーが現出するってことは
そうか! ドッペルゲンガーとしてこの世界に現れた――実体化したのなら、そいつの持っているスマートフォンにもSNSからの
「そいつは、もう一人の――つまり俺との遭遇を
「そうだ。このメッセが送られたあとのお前にとって、この部室が
柳井さんはスマホを
すぐに俺の
「ただし、これにも落とし穴がある」
「落とし穴?」
「もし、ドッペルゲンガーの現出が、いまこの瞬間、この部室で行われたら――」
「……
まあ、と柳井さんはそこで顔を緩ませ、やっといつもの苦笑いを浮かべた。
「そんなピンポイントの確率は
……なんとも苦笑いを返すしかない。
「ドッペルゲンガーの一時的対処の
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