04-04 ば、馬鹿なこと言わないでよ!
昨晩、意識がある中で入れ替わったわけだから、これが夢ではないことはもう一人の俺も理解したはずだ。しかし、お互いに二つの人生の記憶はあっても、入れ替わってからは、
俺に関していえば、映研世界の八日の記憶。
もう一人の俺は、オカ研世界での八日の記憶が
二度あることは三度ある。
そのうちまた、もとの世界に戻れたとしても、世界の入れ替わりが起こらないという保証はどこにも無い。俺と同じ立場である、もう一人の俺にしたって、それくらいのことは考えているはずだ。それなら、お互いの状況について情報
たが、情報共有といっても、どんな方法がある?
部室のドアがひらいた。ちばちゃんである。
「こんにちはー。あれ、磯野さん早い」
「おつー。ちばちゃんが来たってことはもうお昼か」
そういえば、こっちのちばちゃんはあの大学ノートを持っているんだろうか。いままで考えもしなかったが、もしこっちのちばちゃんも持っているのなら、いまノートを見せてもらえば問題解決じゃないか。あの
「ねえ、ちばちゃん。いま
「大学ノート、ですか?」
ちばちゃんは人差し指を口に当て、不思議そうな顔で首をかしげた。
みずからの
あざとい。あざといが……良い。
「
ちばちゃんはそう言って、肩にかけてる鞄をのぞき込んだ。四冊以外にもまだありそうだが――そうだ、俺は知っている。
「ああ、あとは
「……え? な、なにをおっしゃりまるす磯野さん?」
文字どおり、絵を描いたように慌てふためくちばちゃん。とてもわかりやすい。たが、ちょっと
「その……汚れたノートってないかな」
「え? そういうのはないですね」
ふだんなら、なんでそんなことを
嘘をついているようには見えない。この様子だと、こっちのちばちゃんは、あの汚れた大学ノートは持ってはいなさそうだ。
「磯野、汚れたって、なにちばちゃんにセクハラまがいなこと訊いてるの」
横からまた見当はずれなことを
「セクハラって……怜、お前「汚れた」って言葉だけで、どんだけ想像力あるんだよ。なあ、どんなエロいこと考えてる? ちょっと
「ば、馬鹿なこと言わないでよ!」
俺のカウンターに
榛名とは違って、こいつの本質は
このたぐいの
あえて言おう。
「ムッツリだな」
「……なっ」
俺の言葉に固まる千代田怜。
「いや、マジでムッツリだろお前」
「~~~~!!」
怜は、
そうだ怜よ。お前にはつねに言葉に出して、トドメを刺しておくことが必要なのだよ。きっちりと
「あはは」
手にあまる話題になると出るちばちゃんのこの笑い。これだけですべてを受け流せるんだから便利なものだ。この子は自分のキャラを
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