04-02 さすがに草生えるわ
というわけで、その暇つぶしに付き合い、いままでキャッチボールをしていたのだった。まあキャッチボールは、俺にとっても自転車での
が、昨晩からつづく非常事態と、いまだ整理しきれていない脳みそで頭を抱えている俺にとって、もうそろそろ解放されてもいいんじゃないかな、ホントに。……シャツも汗で
「榛名ー、ゲームの更新そろそろいい時間じゃないのか?」
俺の言葉に、榛名はボールを投げかけていた手を止め、ショートパンツのポケットからスマートフォンを取りだした。
「ん、そいえばそうかも」
「じゃあ、あがろうぜ」
俺はベンチに置いていた着替えの入ったスポーツバッグを榛名のぶんも拾い、体育館のわきにあるシャワー室へと歩きだした。うしろからきた榛名は「わりい」と言って、俺の手からスポーツバッグを受け取る。
このやり取りだけを見ると、中学や高校時代の気のおけない野球部仲間のような感じだが、
そんな榛名は今日もタンクトップにショートパンツ、そしてサンダルという
霧島榛名は「千代田怜とちがって」なかなかに胸があるため、目のやりどころに困った。しかもいまかいた汗によって、ほどよくシャツが滲み肌が
ほんのり
「榛名おまえな、キャッチボールはいいが、すこしは見た目を気にしろよ」
「お、いきなりどうした?」
榛名は、俺が目をそらしたのを見て、自分の胸のあたりに目を落とし、納得したらしい。
「ああ、慣れろよ。一年経つだろ?」
「……慣れろよじゃねーよ、怜にも言われてるだろうが」
「千代田は……まあ…………な」
いや言いたいことはわかるが、そのリアクション怜の前でしたら刺されるぞ。
にしても、コイツも一年前は普通の女の子? だったんだがなあ。
いつからか、ざっくばらんな話し方というか生き方になったが、うちのサークルに
俺たちはシャワー室で別れて、汗を流したあと部室に戻った。
午前十一時過ぎ。
シャワーから戻り、部室のドアをあけると、パソコンまえに榛名が
一人暮らしの女子大生のだらしなさってこんな感じなんだろうな、と妙に
「榛名―、ちゃんと髪
「うん」
「まえ見たときも疑問に思ってたんだが、おまえ
「ん? ちゃんと着替えてるぞ」
「いや、そのタンクトップとパンツ、さっき着てたやつじゃん」
榛名はパソコンから顔をあげて俺を見た。
「ちゃうちゃう。これは別。ちなみにこれはタンクトップだけど、ブラトップな」
「ブラトップ?」
「これの内側にブラがついてる。だから
ほう、そういうのもあるのか。
「って、ちょっとまてい! いまちく……」
「うん乳首」
「あのなあ、さっきもそうだが少しは女を
「お、磯野は、わたしのこと女として見ているのか?」
「……ただすこし心配になっただけだ」
「へー」
榛名はにやけ
そんなことより……いやいやどうでもよくないが、それよりも――
「おなじ服何着も持ってるのか?」
「そうそう」
「え、なんで?」
「なんでって、楽だからに決まってんじゃん」
「もしかして」
「気に入ったら数着同じの買う」
「わかからんではないが」
「服の組み合わせとか毎日考えるの面倒いじゃん」
「お前……発想が
「失礼なやつだなー。さっきシャワー浴びたの知ってるだろー」
「それはそうだが
「臭そう臭そうって……。あのなあ……そんな疑うんなら
そう言いながら、足を俺に向けてくる。
「やめろや、臭そうなのこっち向けるな」
「磯野ーこれでもわたしだって女の子なんだぜ。そんなデリカシーのない――」
「女の子だと? どの口が言うんだよ。それに足まで向けてきといて、さすがに
「なんだとー」
いまの言葉に頭にきたのか、
「そこまで言うなら三千円やるよ貧乏学生。嗅いでみ、ほれほれ」
三千円……だと。
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