03.霧島千葉 映研部室の前で現実世界に戻ってきたことに安堵する礒野。だがそこへ、訪れるはずの無い人物と遭遇する。
03-01 絵、描くの?
俺が一歩踏み出すごとに、少女は一歩
だが彼女のうしろには階段があるため、足もとはおぼつかない。
ここから見ていても
ならいっそのこと、彼女の
いや、それはマズい。
突然「きみは
じゃあどうする?
そうこうしているうちに、
思考によるしばしの
「ダメだ!」
「え……?」
少女の引いた右足は
思うよりも
一方、
が、俺の右手が、彼女の左手首をすんでのところでつかんだ。
「……
少女は、自分の置かれている状況が理解できないのか、
そうはいくかよ!
俺はち彼女の手を
って! なに冷静にエロゲー
いや、エロゲーとかそういうのであれば、このシチュエーションはラッキースケベだ。ラッキースケベ的なあれだ。しかも、
いやいやまてまて、そんな
いまの状況ってどっから見ても女子高生を無理やり押さえつけてる
「わっ……悪い!」
俺は
「あっ……」
階段をするすると落ちていく鞄。そのさきの
ちばちゃんは、すべり落ちていった鞄を目で追いながらも、
ああああ……なんだこれは。非常にまずいぞ。誤解を
いや、それよりもまずは――
俺は踊り場までおりて、鞄とスケッチブックを拾いあげた。
そのとき、スケッチブックの表紙に書き込まれている名前を確認する。
――霧島千葉
……なんなんだ、これは。いままで疑いを持ちながらも、どこか
目の前の
どうすればいい? この現実を、どう受け止めればいい?
……いや、まずは、目の前にあることをひとつずつ処理しなければ。
俺は、ちばちゃんのところまで戻り、鞄とスケッチブックを差し出した。ちばちゃんは少し
――夢の中で知った霧島千葉という名前が、目の前にいる少女の本名だったという事実。
この超常的オカルト的
俺は思考停止のまま、ふと
「絵、描くの?」
ちばちゃんは俺の問いにビクリとしたあと、真っ赤な顔でうつむいた。
まてよ、霧島千葉は友達で、目の前にいるちばちゃんはその友達のスケッチブックを持っているだけで、本名は違う名前という……。いやいや、そもそも彼女が霧島千葉
「ちばちゃんって
しっかりと確認すべきだ。
ちばちゃんは
よし! 俺のなけなしの脳みそよ、よくやった。
だがいまのリアクションはなんだ?
さっき俺を見たときのちばちゃんの
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