02-03 それは本人に訊けよ
地方の私大とはいえ、一万人近くの学生が通う大学の周辺に
大学の目の前という
俺は全国のコンビニが
「
オカルト現場を聖地よばわりするなよ。
こっちの世界じゃ都市伝説やオカルトが盛り上がってるんだっけ。たしか数年前に都市伝説を
だとしてもだ、この雑誌に
こんな夢を見ている俺が言えた
「大丈夫なの?」
振りかえると、同じ週刊誌をひらいている千代田怜の横顔があった。
コイツいつの
「なんだ。心配してくれてたのか?」
「そんなわけないじゃない。アイスコーヒー買いに来ただけ」
そう言って、千代田怜は週刊誌のページをめくる。
「まあ、みんなは心配してるけどねー」
こっちの世界でも
俺は手にしていた雑誌を戻し、ドリンクの棚からコカ・コーラのペットボトルを取りだしてレジにむかうと、千代田怜はすこし間をおいてから俺のうしろにならんだ。なんだかんだでお
まてよ。専門家ではないとはいえ、こういうオカルトめいたことはオカ研の連中なら食いついてくるんじゃないだろうか。
真剣に考えてくれるかはひとまず置いとこう。
そもそもそこらにいる常識人にいま俺が置かれている状況を相談しても、ろくに相手にされないのがオチだろう。それにこの世界には人間がいるんだ。ならあの無人の世界なんかよりずっとマシじゃないか。
「
俺は部室に戻るや
竹内千尋は、いきなりの質問にキョトンとしていた。
が、俺の質問がこのサークルの
「現実的な夢って……
「メイセキム?」
聞き慣れない言葉に、思わずオウム返しに口にでた。
ふと
「
それだよそれ。こっちの竹内千尋はオカルト関係の
そして、この人も――
「なんだ磯野、明晰夢を見たのか? 明晰夢なら気づいた時点で目が覚めるだろ。明晰夢の状態を長い時間
さすが柳井さん。だけどその話が本当なら、俺はすでにこれが夢だと気づいているわけだから、いまにも目覚めてもいいはずなのだが。
「けど会長、その明晰夢ってやつと、磯野のさっきの
「それは本人に
「だってわたしに驚いた顔をむけてきて、いきなりフルネームで呼ぶんだぜ。めっちゃ怖いじゃん」
そう言うと、霧島榛名はまるで宇宙人でも見るかのような目で俺を見た。おまえは半分おもしろがっているだろ。
「で、さっきのはいったいなんだったんだ?」
さてどう答えたものか。
この状況が仮に夢だとしても「やっぱり磯野の頭おかしい」という理由でこの話題が中断されてしまっては、ろくな情報も引き出せない。情報収集を続けるならば、誰もが納得できるような言葉を
「実は今朝、その明晰夢? っぽい夢を見たんだ」
俺はひと息おいてから口をひらいた。
「その夢だと、オカ研は、映画研究会というサークルになっていた。紛らわしいのは夢から覚めても、夢の中で見た映画研究会の世界の記憶……ええっと、生まれてからいままでの人生の記憶、って言ったほうがいいかな、それがいまだに頭の中に残っている」
現実の世界である映研のある世界と、この夢のなかであろうオカ研世界をひっくり返して説明してみたが、我ながら悪くないのではないか?
話を理解できないのか、
「磯野、いま映画研究会と言ったか?」
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